京都との嵐山にある天龍寺には、特別名勝に指定されている庭園があります。
天龍寺で一番の見どころと言える庭園の歴史や見どころを画像も用いながら簡単に説明しています。
天龍寺の曹源池庭園の歴史と名前の由来は?
天龍寺は1339年に室町幕府初代将軍・足利尊氏(あしかがたかうじ)が後醍醐天皇(ごだいごてんのう)の菩提を弔うために建てた寺院です。
天龍寺の建立を尊氏にすすめたのが夢窓国師(むそうこくし)という僧です。
天龍寺の庭園は、その名を「曹源池庭園(そうげんちていえん)」といいます。
1345年頃に夢窓国師によって造園されました。
曹源池庭園は、文字通り曹源池(そうげんち)と呼ばれる池を中心としていて、その周囲を散策することができる回遊式庭園です。
大方丈から曹源池の向こう側を眺めると、滝の石組みが見えます。
現在は水が流れていませんが、滝の裏手にある竹藪のなかに湧き水の跡があることから、もともとは流水のある滝であったと考えられています。
この庭園が「曹源池庭園」と呼ばれるのは、滝の湧き水から出てきた石に「曹源一滴泉」という文字が彫られていたことが由来とされています。
曹源池庭園の見どころや特徴は?
曹源池庭園の一番の見どころは巧みな借景(しゃっけい)です。
遠方の景色を視界に入るように借りてくるということ…庭園の外側にあるものを、庭園風景として取り込む技法を借景といいます。
借景によく利用されるものは”山”です。
天龍寺の曹源池庭園の借景でも敷地の外側にある山を取り込んでいます。
庭園の端にある木々と遠方の山との境目が違和感なく繋がっているように見えることが、きれいな景観を生み出すために大切です。
京都には円通寺や無鄰菴など山を借景している庭園があります。
画像引用:京都フリー素材
それらも美しいのですが、天龍寺の場合は借景に利用する山が庭園から比較的近いので、大きく見える山が広大な景色を生み出しています。
また、曹源池は海の景観を表現しています。
海を縮尺したようなものだと考えてください。
池には出島がいくつかありますので、それらを眺めながら広い海の情景を想像するのも良いですよ。
前述したとおり曹源池庭園は園内を散策できる回遊式の庭園です。
眺めるだけでなく、歩けます。
歩きながら庭園に植えられている花や木を楽しめるのも見どころです。
一見すると平坦な庭園に見えますが、園内には京都の町を眺められるほど起伏のあるところもあります。
画像では桜の花で見えづらいですが、遠方には町が見えます。