奈良の法隆寺には百済観音、救世観音、夢違観音など国内屈指の国宝の仏像がたくさんあります。
法隆寺には、ほかにも国宝仏像(国宝彫刻)が数多くありますが、一ヶ所にまとめて安置されているわけではなく、様々なお堂に祀られています。
この記事では法隆寺の国宝仏像の数と一覧のほか、それぞれの国宝仏像を拝観できる場所や公開日などを記載しています。
法隆寺の国宝仏像の数は日本一!
法隆寺の国宝仏像(国宝彫刻)の件数は17件で、日本一です。
2017年1月現在の国宝仏像(彫刻)の件数は全部で131件なので、法隆寺だけでおよそ13パーセントを占めています。
興福寺の国宝仏像(彫刻)の所蔵件数は、法隆寺と同じ17件で同率一位です。
その次に東大寺の14件が続きます。
法隆寺の国宝仏像一覧は?
法隆寺の国宝仏像一覧(17件)
- 薬師如来坐像(金堂)607年頃
- 釈迦如来及び両脇侍像(金堂)623年
- 四天王立像(金堂)飛鳥時代
- 観音菩薩立像【救世観音】(夢殿)飛鳥時代
- 観音菩薩立像【百済観音】(大宝蔵院) 飛鳥後期
- 観音菩薩立像【夢違観音】(大宝蔵院) 白鳳時代
- 阿弥陀如来及び両脇侍像等 【伝橘夫人念持仏】(大宝蔵院)8世紀初
- 塔本四面具( 五重塔) 711年
- 行信僧都坐像(夢殿)750年
- 薬師如来坐像 (西円堂)天平時代
- 道詮律師坐像(夢殿)876年
- 観音菩薩立像【九面観音】(大宝蔵院 )唐時代
- 地蔵菩薩立像 (大宝蔵院)9世紀末
- 釈迦如来及び両脇侍坐像( 上御堂)10世紀中期
- 薬師如来及び両脇侍坐像(大講堂)990年
- 毘沙門天,吉祥天立像(金堂)1078年
- 聖徳太子,山背王,殖栗王,卒末呂王,恵慈法師坐像(聖霊院) 1110年以前
上記一覧の国宝仏像には、展示場所を併記していますが、造像された時代順に並べているので、どのお堂にどの仏像があるのかわかりづらいはずです。
なので次は展示場所別に法隆寺の国宝仏像を紹介します。
「常時公開されているのはどの仏像か?」「秘仏御開帳や特別開扉の時にしか拝観できない仏像はどれか?」といった情報も記載しています。
法隆寺の国宝仏像の展示場所と特別公開期間
法隆寺の国宝仏像の安置されている場所と公開日をお堂ごとに順に記載します。
法隆寺で国宝の仏像が安置されている場所は、金堂、五重塔、大講堂、大宝蔵院、西円堂、夢殿、上御堂、聖霊院の8カ所です。
法隆寺金堂の国宝仏像一覧(4件)
- 釈迦如来及び両脇侍像 623年
- 薬師如来坐像 607年頃
- 毘沙門天,吉祥天立像 1078年
- 四天王立像 飛鳥時代
法隆寺金堂の国宝仏像はすべて通常拝観できます。
法隆寺五重塔の国宝仏像一覧(1件)
- 塔本四面具 711年
法隆寺五重塔の国宝仏像も通常拝観できます。
国宝・塔本四面具は法隆寺五重塔の東西南北の四面にある群像のことです。
法隆寺大講堂の国宝仏像一覧(1件)
- 薬師如来及び両脇侍坐像 990年
法隆寺大講堂は通常拝観できます。
法隆寺大宝蔵院の国宝仏像一覧(5件)
- 観音菩薩立像【百済観音】飛鳥後期
- 観音菩薩立像【夢違観音】 白鳳時代
- 阿弥陀如来及び両脇侍像等【伝橘夫人念持仏】 8世紀初
- 観音菩薩立像【九面観音】唐時代
- 地蔵菩薩立像 9世紀末 大宝蔵院
法隆寺大宝蔵院はの法隆寺宝物館で、境内で最も国宝仏像の収蔵件数が多い建造物です。
大宝蔵院の国宝仏像は、すべて常設展示されています。
法隆寺には、大宝蔵院と名前の似ている大宝蔵殿という建造物もあります。
大宝蔵殿は、大宝蔵院ができる前に法隆寺の宝物館として使用されていた建造物で、現在は毎年春と秋にのみ公開されています。
大宝蔵殿には国宝の仏像は安置されていないものの、魅力的な古仏があるので、大宝蔵殿の特別公開期間に参拝したなら合わせて拝観することをおすすめします。
法隆寺西円堂の国宝仏像一覧(1件)
- 薬師如来坐像 天平時代
法隆寺西円堂は境内の西端の方にあるお堂です。
薬師如来坐像は通年拝観することができます。
西円堂の薬師如来坐像は、東大寺南大門の金剛力士立像(運慶快慶らの作)と同様に拝観無料で拝観できる数少ない国宝仏像です。
目立ちにくい場所にあるからか、西円堂に立ち寄らずに帰る参拝者も少なくありません。
その分、人通りが少なくゆったりと拝観することができます。
西円堂の外から内を拝観することになるのですが、堂内は薄暗いのでやや見づらいです。
法隆寺夢殿の国宝仏像一覧(3件)
- 観音菩薩立像【救世観音】 飛鳥時代 (4/11~5/18と10/22~11/22)
- 行信僧都坐像 750年 (4/11~5/18と10/22~11/22)
- 道詮律師坐像 876年 (4/11~5/18と10/22~11/22)
法隆寺東院夢殿は、毎年春と秋の一定期間のみ特別公開されるお堂です。
夢殿の御開帳期間は次の通りです。
春季:毎年4月11日~5月18日
秋季:毎年10月22日~11月22日
法隆寺上御堂の国宝仏像一覧(1件)
- 釈迦如来及び両脇侍坐像 10世紀中期
法隆寺上御堂(かみのみどう)は、大講堂よりさらに北側にある通常非公開のお堂です。
毎年11月1日~11月3日のみ特別公開されます。
法隆寺聖霊院の国宝仏像一覧(1件)
- 聖徳太子,山背王,殖栗王,卒末呂王,恵慈法師坐像 1110年以前
法隆寺聖霊院の5体の国宝仏像は、秘仏で通常非公開です。
毎年3月22日~3月24日に開扉されると説明されることがありますが、その3日間に法隆寺を参拝しても、聖徳太子を含む5体の像を見ることはできません。
実際に拝観することができるのは逮夜法要の時のみです。
法隆寺聖霊院の聖徳太子像はお会式で拝観できない?拝観できるのはいつ?
法隆寺の国宝仏像は秘仏もありますが、通常拝観できる仏像の割合は多いですね。