奈良の興福寺で最も有名な仏像といえば、阿修羅立像だと思いますが、阿修羅立像は八部衆立像という8体の国宝仏像の中の1体です。

興福寺は、阿修羅を含む八部衆以外にもたくさんの国宝仏像(国宝彫刻)を所蔵しています。

その数は仏像好きな方でもいっぺんに全部を思い出すのは難しいのではないか?というくらい多いです。

この記事では、興福寺の国宝仏像一覧のほか、

「それぞれの国宝仏像をどこで拝観することができるのか?」「常時拝観できる仏像、特別拝観(御開帳)でしか拝観できない仏像はどれ?」といったことを記載しています。

興福寺の国宝仏像件数は日本一!

興福寺の国宝仏像(国宝彫刻)の件数は17件で、日本一です。

2017年1月現在の国宝仏像(彫刻)の件数は全部で131件なので、興福寺だけでおよそ13パーセントを占めています。

国宝仏像(彫刻)の所蔵件数の多さは、法隆寺が興福寺と同じく17件を所蔵し、その次に東大寺の14件が続きます。

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興福寺の国宝仏像一覧は?

興福寺の国宝仏像(彫刻)作品の一覧

  1. 仏頭(国宝館) 685年
  2. 十大弟子立像(国宝館) 734年
  3. 八部衆立像(国宝館) 734年
  4. 四天王立像(北円堂) 791年
  5. 四天王立像(東金堂) 平安時代初期
  6. 板彫十二神将立像(国宝館) 藤原時代
  7. 法僧六祖坐像(国宝館) 1189年
  8. 不空羂索観音坐像(南円堂) 1189年
  9. 四天王立像(南円堂) 1189年
  10. 維摩居士坐像(東金堂) 1196年
  11. 文殊菩薩像(東金堂) 鎌倉時代初期
  12. 十二神将立像(東金堂) 1207年
  13. 千手観音立像(国宝館) 1229年以前
  14. 金剛力士立像(国宝館) 鎌倉時代
  15. 弥勒仏坐像(北円堂) 1208年
  16. 無著・世親菩薩立像(北円堂) 1208年
  17. 天燈鬼・龍燈鬼立像(国宝館) 1215年

上記一覧の国宝仏像には、展示場所を併記していますが、造像された時代順に並べているので、どのお堂にどの仏像があるのかわかりづらいかもしれません。

次は展示場所別に興福寺の国宝仏像を掲載し、「常時公開されているのはどの仏像か?」「秘仏御開帳特別公開時にしか拝観できない仏像はどれか?」などといった情報も記載しています。

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興福寺の国宝仏像の展示場所と特別公開日

興福寺で国宝の仏像が安置されている場所は、国宝館、東金堂、北円堂、南円堂の4カ所です。

 

興福寺国宝館の国宝仏像一覧(8件)

  1. 仏頭 685年
  2. 十大弟子立像 734年
  3. 八部衆立像 734年
  4. 板彫十二神将立像 藤原時代
  5. 法僧六祖坐像 1189年
  6. 天燈鬼・龍燈鬼立像 1215年
  7. 千手観音立像 1229年以前
  8. 金剛力士立像 鎌倉時代

国宝館の名のとおり、国宝がたくさん展示されています。

 

 

興福寺東金堂の国宝仏像一覧(4件)

  1. 四天王立像(東金堂) 平安時代初期
  2. 維摩居士坐像 1196年
  3. 文殊菩薩像 鎌倉時代初期
  4. 十二神将立像 1207年

東金堂の須弥壇上に国宝の仏像が密集しています。

四天王像(4体)、十二神将像(12体)などがいることで須弥壇上の仏像の数は多く、須弥壇の奥の方にある像は、前の像と被って見づらいです。

 

興福寺で国宝仏像がある場所の中で、通常拝観できるのは国宝館と東金堂のみです。

2017年は1月~12月まで、国宝館の耐震改修工事が行われているので、国宝館の拝観はできません。

その代わり2017年の春と秋は、興福寺中金堂で国宝館の文化財のうち主要なものが特別展示されることが予定されています。

主要なものが展示されるということで、国宝館の国宝仏像がすべて展示とまでいかなくても、八部衆の阿修羅像を筆頭に、ほとんどの国宝仏像は展示されるのかもしれませんね。

 

上記一覧の通り、国宝の仏頭は通常は国宝館で展示されていますが、2017年は東金堂で展示されています。

白鳳時代の国宝の仏頭は、昭和の時代に東金堂の台座の下から発見されたもので、東金堂に安置されるということで久々の里帰り(?)となりました。

 

続いて、特別拝観の時だけ拝観できる北円堂と南円堂の国宝仏像です。

興福寺北円堂の国宝仏像一覧(3件)

  1. 四天王立像(北円堂) 791年
  2. 弥勒仏坐像 1208年
  3. 無著・世親菩薩立像 1208年

北円堂が特別開扉されるのは、毎年春と秋の一定期間です。

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興福寺南円堂の国宝仏像一覧(2件)

  1. 不空羂索観音坐像 1189年
  2. 四天王立像(南円堂) 1189年

南円堂が特別開扉されるのは、毎年10月17日です。

 

興福寺の国宝仏像には、運慶の父・康慶や運慶とその息子たちの仏像も多く、それらの一部は東京国立博物館で展示されます。

運慶一門と深いかかわりのある興福寺から出陳される仏像の割合は多いようです。

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興福寺の建造物で一番有名なのは、高さ50.1メートルを誇る五重塔だと思いますが、興福寺五重塔には国宝指定されている仏像はありません。

興福寺五重塔の初層には南面に釈迦三尊像、東面に薬師三尊像、西面に阿弥陀三尊像、北面に弥勒三尊像が安置されていますが、いずれも国宝の仏像ではありません。

興福寺五重塔の内部は通常非公開で、不定期ですが五重塔の初層の特別公開が行われ、初層内部に立ち入ることができます。