大阪府河内長野市の天野山金剛寺が所有する大日如来坐像、不動明王坐像、降三世明王坐像が平成29年(2017年)に国宝に指定されました。

当記事では、金剛寺の大日如来ほか2体の仏像が国宝に指定された理由やいつどこで拝観できるのか等を掲載します。

天野山金剛寺の大日如来坐像・不動降三世明王坐像とは?

 

天野山金剛寺の大日・不動・降三世の3軀をまとめて1件の国宝に指定(見込み)

 

木造大日如来坐像(もくぞうだいにちによらいざぞう) 1軀 

  • 像高313.5センチメートル

 

木造不動降三世明王坐像(もくぞうふどうごうざんぜみようおうざぞう)2軀

  • 不動明王坐像の像高 201.7センチメートル
  • 降三世明王坐像の像高 230.1センチメートル

 

【所有者】宗教法人天野山金剛寺(大阪府河内長野市天野町996)

 

 

文化庁の報道発表によると、金剛寺の大日如来坐像・不動降三世明王坐像が国宝指定された理由は次の通りです。

真言僧阿観(しんごんそうあかん)が八条院(はちじょういん)の帰依を得て建立した河内金剛寺金堂の本尊像で、3メートルを越える巨大な大日如来像を中尊とする三尊像である。

中尊は金剛寺の草創期である1180年前後の作で、大きさ、できばえともにこの時代の大日如来像 を代表する作例と言え、光背・台座に弘法大師空海に由来する図像的な特色を示す点でも注目される。

不動・降三世明王は最近の保存修理で銘文が確認され、仏師快慶の弟子、行快が天福2年(1234)に造ったことが判明した。

三尊としての構成は智証大師円珍(ちしょうだいしえんちん)が中国よりもたらしたとされる尊勝曼荼羅(そんしょうまんだら)に依拠しており、

この図像になる唯一の遺品としても貴重である。

保存修理に伴い、この度、初めて本格的な調査が実施された結果、この三尊像 がおよそ半世紀をかけて造られ、以後おおむねその状態をとどめて今日まで伝え られてきたことが明らかになった。

これを受けて国宝に指定する。

引用元:文化審議会答申 ~国宝・重要文化財(美術工芸品)の指定について~

 

金剛寺の大日如来坐像、不動降三世明王坐像の3体は明治32年(1899年)に重要文化財に指定されました。

平成29年(2017年)の国宝指定されたので、重要文化財指定から118年後に国宝に指定されたことになります。

 

3体の仏像は平成22年(2010年)から保存修理とともに大規模調査が実施されました。

仏師・快慶の高弟である行快(ぎょうかい)の作であることと天福2(1234)年に完成したことが判明したのはこの調査によります。

3体がそろう形になるまで約50年の歳月がかかってたようです。

 

大阪府河内長野市の天野山金剛寺ってどこ?地図を掲載

天野山金剛寺の所在地(住所):〒586-0086 大阪府河内長野市天野町996

 

天野山金剛寺がある大阪府河内長野市は大阪の南の方にあります。

河内長野市には国宝指定されている如意輪観音坐像を所有する観心寺(かんしんじ)があります。

 

金剛寺の大日如来坐像・不動降三世明王坐像の国宝指定によって、河内長野市では2件目の国宝彫刻が誕生することになりますね!

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大日如来坐像・不動降三世明王坐像はどこで拝観できる?

大日如来坐像・不動降三世明王坐像は3体とも天野山金剛寺の金堂に安置されている仏像ですが、

2017年3月現在はお堂の修復工事を行っているため金剛寺に行っても拝観することができません。

 

大日如来坐像と不動明王坐像は京都国立博物館の平成知新館の1階に横並びで展示されています。

平成知新館1階の彫刻展示室は環境整備等のため2017年2月21日(火)~4月9日(日)のあいだ閉室されています。

 

降三世明王坐像は奈良国立博物館のなら仏像館の第8室に展示されています。

2017年3月28日(火)になら仏像館の彫刻の展示替えがありますが、その後も降三世明王坐像は展示されるようです。

 

現時点では京都と奈良に分散して展示。

天野山金剛寺の修復工事が終われ大阪に戻るということで、結局は関西に行かなければ拝観できないということですね。

 

毎年、東京国立博物館(東博)ではその年に新指定された国宝・重要文化財が一挙に展示されます。

東京国立博物館の平成29年(2017)新指定国宝の展示期間はいつ?

 

しかし、一部の文化財は写真を用いたパネル展示や複製品の展示が行われます。

天野山金剛寺の大日如来坐像・不動明王坐像・降三世明王坐像はすべて大きな仏像です。

 

もちろん東博で展示できないことはないでしょうが、写真を用いたパネル展示になる可能性が高いと思います。

少なくとも3体とも東博で展示されるということはなさそうですね。

 

同時に国宝に新指定された深大寺の釈迦如来倚像や法華寺維摩居士坐像は東博で展示される可能性が高そうですが。

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結局、金剛寺の3体を拝観するには関西にいらっしゃい!ということになりそうです。