東大寺法華堂には、東大寺の創建期にまでさかのぼる古仏が数多く現存していますが、

その中に1対の金剛力士像も存在します。

金剛力士像というと、筋骨隆々の半裸のマッチョな姿をイメージしますが、法華堂の金剛力士像は一味違います。

この記事では脱いだらすごいに違いない法華堂の金剛力士像について注目しました。

東大寺の国宝・金剛力士像は南大門だけじゃない!もう1対の仁王像

東大寺の金剛力士像というと、南大門の左右に安置されている鎌倉時代の国宝・金剛力士立像が著名です。

 

運慶と快慶の一門によって造像されということ像高8mを超える巨大な像ということもあって印象に残りやすいですが、

東大寺で国宝指定されている金剛力士像は、もう1対あります。

 

もう1対の国宝・金剛力士立像は東大寺法華堂(三月堂)に安置されていて、

南大門の金剛力士像より古い奈良時代に造像されました。

 

法華堂の金剛力士立像の拝観情報を確認してみましょう。

東大寺法華堂(三月堂)の金剛力士立像を拝観するには?

東大寺法華堂の国宝・金剛力士像は法華堂の正堂(しょうどう)で、

本尊・不空羂索観音立像の左右斜め前方に1躯ずつ安置されています。

東大寺法華堂(三月堂)の仏像配置と一覧は?図で安置場所を説明

 

雨にも負けず、風にも負けず、仏敵にも負けない。

そういう守護神として金剛力士は仁王門や南大門などの門に安置されていることが多いですが、

法華堂の金剛力士像は屋内に安置されています。

 

金剛力士像は常時公開されているので、通年拝観することができます。

同じ金剛力士の系統でも、秘仏で通常非公開なのは国宝・執金剛神立像です。

 

法華堂の内部を拝観するには入堂料(拝観料)が必要です。

東大寺法華堂(三月堂)の拝観料金と観光所要時間は?歴史と見どころも

東大寺法華堂の金剛力士立像の特徴

東大寺法華堂(三月堂)金剛力士立像

  • 躯数:2躯
  • 文化財指定:国宝
  • 材質:脱活乾漆、彩色、漆箔
  • 造像された時代:奈良時代(8世紀中頃)
  • 阿形像の像高:326.4cm
  • 吽形像の像高:309.0m

法華堂の金剛力士像は、両像とも3mを超える乾漆像です。

 

阿形像は怒髪天を突くという言葉どおりに前髪を逆立て、口を大きく広げた激しい怒りの表情をしています。

口まわりや顎にはひげを生やしています。

某スギちゃんのワイルドだぜ?という声が聞こえてきそうな金剛力士としては変わった姿をしています。

右手を高く振り上げた動きのあるポーズをしています。

 

阿形像は髪を結いあげて、口元は閉じ、阿吽の吽を表現しています。

右手には金剛杵(こんごうしょ)という法具を握り、胸の前に添えています。

動的な表情と格好の阿形像と比較すると、対照的な静的な像です。

 

さらに両像に共通する大きな特徴は、甲冑をまとっていることです。

上半身の肉体美で魅せる通常の金剛力士とは大きく異なります。

法華堂の金剛力士像は、珍しい武装像の金剛力士の作例です。

 

金剛力士は、1体の執金剛神(しゅこんごうしん)から発展し、阿吽の2体に分かれたものです。

 

法華堂にも秘仏の執金剛神立像がありますが、甲冑をまとっています。

鎧を身に着けた法華堂の金剛力士立像は、執金剛神の原型をとどめた像と言えるかもしれませんね。

 

彩色された像ですが、今日でも比較的彩色が残っています。

 

漆箔(しっぱく)とは漆を塗った上に金箔をつける技法です。

現在でも鎧の胸の淵の部分やスカート部分に残っています。

 

鎧の緑の細かな文様は、木屎漆(こくそうるし)を盛り上げて造られています。

見事な文様です!

 

法華堂の金剛力士像は奈良時代(8世紀中頃)に造られた仏像です。

金剛力士像と同じ法華堂に安置されている乾漆の梵天・帝釈天像や四天王像と同一の工房で造像されたと見られています。