奈良薬師寺の東院堂(とういんどう)に安置される銅造聖観音菩薩立像は白鳳時代を代表する国宝の仏像です。

薬師寺金堂の銅造薬師三尊像とともに薬師寺の仏像の中で人気があります。

東院堂の聖観音菩薩立像の特徴や拝観情報について紹介します。

銅造聖観音菩薩立像は着衣が特徴的

薬師寺東院堂の聖観音菩薩立像は国宝指定されている銅造の仏像です。

 

薬師寺金堂の薬師三尊像も銅造でどちらも白鳳時代の代表的な仏像ですが、

金堂の薬師三尊像より早く造立されたとみられています。

 

聖観音菩薩立像の特徴は衣にあります。

聖観音立像の腰から足首にかけて裾が下方に垂れていますが、金堂薬師三尊像の両脇侍のように裾が後ろにたなびかず、横に広がっています。

 

これは正面から拝むことを強く意識し、側面観のバランスを意識しない飛鳥時代の仏像の特徴が残っていると言えるでしょう。

また、聖観音菩薩立像は全体的に見て左右対称な造形であることからも、正面観を強く意識する飛鳥仏の特徴が出ていると言えます。

 

脚部の衣は、着衣を通して両脚の形が分かるように表現されていて、等間隔で刻まれた衣文はリズミカルです。

腰をひねって立つ金堂薬師三尊像の両脇侍が曲線的なのに対し、聖観音菩薩立像は直線的です。

 

聖観音菩薩立像の方が正面観が強いこと、金堂薬師三尊像の方が肉体表現が写実的であることから

聖観音菩薩立像の方が薬師三尊像よりも造像が早いと見られてます。

 

しかし同時代の他の仏像と比較すると、非常に均整のとれた造形であることがよくわかる名品です。

薬師寺金堂の本尊・国宝薬師三尊像の特徴は?拝観できる期間はいつ?

東院堂の聖観音像を拝観するには?

国宝の聖観音像は薬師寺東院堂に安置されています。

薬師寺の拝観形式は拝観受付で拝観料を支払って、伽藍の諸堂を参拝する形式です。

拝観料を支払ってから東院堂に行けば、聖観音像を拝することができます。

聖観音像は基本的に年中拝観することができますが、拝観しに行く前に一点注意があります。

 

聖観音像は国宝の仏像の中では、博物館や美術館の展覧会に出陳される機会が比較的多いです。

展覧会の期間中とその前後は、外部に持ち出されているため薬師寺へ行っても拝観することができません。

 

聖観音像の展覧会の予定がある場合、薬師寺の公式ホームページに記載されます。

薬師寺公式ホームページ

 

薬師寺の公式ホームページのトップページの最新情報を確認し、

そこに聖観音像の博物館・美術館への展示について何も記載がなければ、通常通り東院堂で拝観することができます。

 

聖観音立像もそれを安置する東院堂も、ともに国宝ですが金堂に比べると参拝者が少ないです。

一般的な参拝者にとっては、伽藍の隅にあるお堂という風にしか見えず、立ち寄る人がそれほど多くないのでしょうか?

 

東院堂の入る際は、お堂の入口で靴を脱いで入ります。

脱ぎやすく履きやすい靴で薬師寺を訪れる方が望ましいですが、薬師寺境内の他のお堂は土足のままで出入りできるので、

脱ぎにくい靴で行っても何度も靴を履く・脱ぐといったことを繰り返さなくていいので、それほどにする必要はないかもしれません。

聖観音像との距離は近すぎず遠すぎすといったところです。

東院堂内部も特に暗いと感じる事はないでしょう。

 

東院堂聖観音立像の拝観情報まとめ

東院堂 聖観音立像のまとめ

造立時代:飛鳥時代後期~奈良時代初期(7世紀末~8世紀初期)
安置場所:薬師寺東院堂
拝観料 :薬師寺の拝観料
公開状況:常時公開
備考  :博物館の展示実績が多いため、出張予定を確認することをおすすめします