清水寺で胎内めぐりができる随求堂は、清水の舞台や地主神社より知名度は低いですが、知る人には人気のスポットとなっています。
そもそも随求堂は清水寺の中のどんなお堂なのでしょうか?
また、胎内めぐりにはどのような意味があるのでしょうか?
随求堂に祀られる神仏のご利益を知ると、胎内めぐりの意味がわかりやすくなります。
清水寺随求堂の歴史概要
清水寺には複数の塔頭がありますが、随求堂は清水寺の塔頭の一つである慈心院の本堂にあたる建造物です。
現存する建物は、今からおよそ300年ほど前の江戸時代中期1718年(享保3年)に再建されたものですが、
明治時代初期の廃仏毀釈の時に慈心院は随求堂のみを残してなくなってしまいました。
随求堂の本尊の大随求菩薩とは?
随求堂の本尊は、大随求菩薩(だいずいぐぼさつ)という仏さまです。
大随求菩薩は、密教の菩薩です。
清水寺は現在、北法相宗大本山ですが、北法相宗を立宗したのは1965年のことで、それ以前のほとんどの時期の清水寺は法相宗と真言宗の二宗を兼学していました。
大随求菩薩が随求堂の本尊として祀られていることは、過去に清水寺が密教である真言宗の寺院であったことを思わせます。
大随求菩薩の随求というのは「人々の求願を叶える」という意味です。
あらゆる罪を滅罪させるという絶大なご利益を持っています。
また、子授けの功徳があるとされています。
大随求菩薩の真言を書写したものを身に着けておくと、あらゆる災厄から守ってくださるとまでいわれているため、これがお守りの元祖とされているようです。
大随求菩薩は大阪府河内長野市の観心寺のように図像として描かれることはあっても、仏像として彫刻されることはとても珍しいです。
ですが、清水寺には大随求菩薩の仏像が現存しています。
腕の数は八本ある八臂の坐像です。
木像ですが、金箔・金泥の像であるため、全身が金色です。
像高は110cm。
江戸時代中期の1733年(享保18年)作の像です。
秘仏であるため一般公開されていません。
過去に美術館の展覧会には出展されたことがあるので、またどこかの展覧会で展示される機会があれば拝観するチャンスはあります。
随求堂には他にも大聖歓喜天(だいしょうかんきてん)や粟島明神(あわしまみょうじん)などの縁結びや安産・子育てにご利益のある神仏も祀られています。
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胎内めぐりの意味や効果は?
胎内めぐりでは真っ暗な空間の中を大きな数珠をつたいながら進みます。
これは随求堂本尊の大随求菩薩のお腹の中をイメージしています。
安産・子授けの功徳がある大随求菩薩を祀る随求堂で、母胎の中をイメージした胎内めぐりを体験できるというのは、ご利益がありそうですね。
胎内めぐりで暗い随求堂の中を進むと、少し明るくなっている場所にたどりつきますが、そこには大随求菩薩を意味する梵字が刻まれた石があります。
その石を回して一つだけ願い事をすると、その願いが叶うとされています。
このようにして胎内めぐりでは大随求菩薩のご利益を受けることができるのです。
胎内めぐりは本当に真っ暗ななかで行うので、服のポケットや鞄の中から物を落とさないように気を付けましょう。