天龍寺は京都の嵐山観光で人気のお寺です。拝観できる場所は法堂・庭園・諸堂の3ヶ所に大きく分けることができます。
それぞれの見どころを紹介しますので、3ヶ所とも拝観するか、一部のみにするか決める際の参考になれば幸いです。
天龍寺の見どころ第3位
現存する法堂(はっとう)は、江戸時代後期に建立された雲居庵禅堂(選佛場)が明治時代になってから移築されたもの。
移築されたのは以前の法堂が、江戸時代末期の1864年の禁門の変(蛤御門の変)で焼失してしまったからです。
現在の法堂の天井には加山又造(かやままたぞう)画伯によって描かれた大きな雲龍図がありますが、これが法堂の見どころです。
法堂に於いて「達磨忌法要」を厳修いたしました。(2015.10.5) pic.twitter.com/a8x9QvY7PY
— 大本山天龍寺 (@tenryu_ji) October 7, 2015
法堂内部は写真撮影不可なので、天龍寺の公式ツイッターを引用。
京都には臨済宗の他の宗派の大本山(天龍寺は臨済宗天龍寺派の大本山)の法堂にも雲龍図が描かれていますが、天龍寺のものは比較的新しく、1997年(平成9年)に法堂の移築100年・天龍寺の開山の夢窓国師650年遠諱記念事業を記念して描かれました。
天龍寺の雲龍図は、縦10.6m、横12.6mの天井に、厚さ3cmの桧板を159枚張り合わせて描かれています。
いかに大きな絵であることがわかります。
雲龍は八方睨み(はっぽうにらみ)の龍です。
どの方向から見ても龍に睨まれているように見えます。
色んな方向から見上げてみてください。
ちなみに明治の移築当初の法堂には鈴木松年(すずきしょうねん)画伯の雲龍図がありました。
「旧雲龍図」(鈴木松年画伯筆)大方丈にて特別公開 2月6日(土)~3月6日(日)。(2016.2.6) pic.twitter.com/3aO0SZFi7e
— 大本山天龍寺 (@tenryu_ji) February 5, 2016
鈴木画伯の雲龍図はその一部が保存されていて普段は非公開ですが、大方丈で特別公開されることがあります。
損傷が激しいですが、目の部分は今日でも強い迫力を感じられます。
法堂は春・夏・秋それぞれの特定期間以外は土日祝日にしか公開されません。
天龍寺の見どころ第2位
天龍寺の庫裡・大方丈・小方丈・多宝殿はそれぞれ別の建物ですが、内部で繋がっています。
台所と寺務所の機能を兼ねている庫裏(くり)が拝観入口です。
庫裏に入ると、正面には天龍寺・前住職の平田精耕老師によって描かれた達磨図が置かれています。
達磨(だるま)は禅の開祖。
目つきや口元の表情が印象的で一度見たら忘れられません。
達磨図が諸堂の一番の見どころです。
庫裏に隣接する大方丈は天龍寺で最も大きな建造物。
大方丈の中央にある室中の間(しっちゅうのま)には、本尊の釈迦如来坐像(重要文化財)が安置されています。
この釈迦如来坐像は平安時代後期作とされる仏像で、1339年の天龍寺の創建より古いですが、室中の間の前に立ってもその像容は全然見えません。
天龍寺の雲龍図と言えば、加山又造画伯の法堂の雲龍図が有名ですが、大方丈の襖にも雲龍図が描かれています。
大方丈の雲龍図は、物外道人(もつがいどうじん)画伯の1957年(昭和32年)の作。
大方丈は内部に立ち入れませんが、広い縁側に腰を下ろして、後述する庭園を鑑賞することができます。
小方丈は文字通り大方丈より小さな建造物で、書院の建築です。
上の画像は大方丈の縁側から小方丈を撮影したもの。
小方丈では、畳敷きの部屋の中に入ってそこから庭園を眺めることができます。
また、法要や来客の接客などに使用されることもあります。
多宝殿は中世の貴族の邸宅を想像させる建造物。
小方丈から長い渡り廊下で繋がっています。
この渡り廊下は和風な雰囲気に溢れていて天龍寺の諸堂参拝の見どころと言えるでしょう。
天龍寺は室町幕府の初代将軍・足利尊氏(あしかがたかうじ)が後醍醐天皇(ごだいごてんのう)の菩提を弔うために造営した寺院ですが、多宝殿にはその後醍醐天皇の尊像が祀られています。
内部の襖絵もきれいですので見逃さないように。
多宝殿では写経もできます。
天龍寺の見どころ第1位
大方丈の裏側には、曹源池庭園(そうげんちていえん)があります。
遠方に見える嵐山や亀山を庭園風景として見事に取り入れた美しい庭園です。
天龍寺は創建してから8度の火災をくぐり抜けて今日に至りますが、建造物で創建当初から現存しているものはありませんが、曹源池庭園は天龍寺創建期の作成当時の面影を残しています。
天龍寺は世界文化遺産「古都京都の文化財」に登録されています。
「古都京都の文化財」は国宝の建造物か特別名勝の庭園を持つ合計17の神社・寺院・城郭で構成されていますが、天龍寺はそのひとつに含まれています。
前述の通り、天龍寺は何度も火災に遭っており、現存する建物のほとんどは明治時代以降に再建された比較的新しいものばかりで、国宝指定されている建造物はありません。
曹源池庭園は「方丈裏庭」として特別名勝(および史跡)に指定されていて、これが天龍寺が世界遺産登録された大きな要因になっています。
「方丈裏庭」だけでなく、天龍寺の勅使門から放生池を経て法堂に至るところまでの「前庭」も特別名勝及び史跡の指定範囲に含まれています。
曹源池庭園については下記記事でも紹介しています。
まとめ
法堂の見どころ
- 天井の雲龍図(加山又造画伯の作)
諸堂の見どころ
- 庫裏の達磨図(天龍寺の前住職・平田精耕老師の作)
- 大方丈の襖の雲龍図(物外道人画伯の作)
- 小方丈と多宝殿を結ぶ渡り廊下
- 多宝殿の後醍醐天皇像と襖絵
庭園の見どころ
- 遠方の山を取り入れた曹源池庭園(方丈裏庭)の庭園風景
- 勅使門から放生池を経て法堂に至る前庭
それぞれ魅力がありますが、天龍寺に行くなら庭園は必ず拝観することをおすすめします。