東大寺の柱くぐりは、大仏の拝観とともに東大寺観光の名物になっています。
柱の穴は大仏の鼻の穴と同じ大きさであることが有名で、修学旅行生がくぐるイメージがありますが、大人でも通り抜けることができるのでしょうか?
柱くぐりの意味や穴の大きさ、成人男性の私が通り抜けた方法を紹介します。
東大寺大仏殿の柱をくぐる意味とご利益は?
これが大仏の鼻の穴と同じ大きさとされる柱の穴。
鼻の穴と同じ大きさにした明確な理由はないようです。
柱くぐりをすると一般的には「無病息災」のご利益があるとされますが、ほかにも「願いが叶う」「頭がよくなる」「福を招く」など諸説あります。
これらは時代とともに意味を持たされたものであり、もともと柱くぐりをすることでご利益を授かれるというわけではなかったそうです。
そもそも柱に穴をあけた理由は、鬼門除け(災難除け)のためとされています。
穴のある柱がある場所は、大仏殿の北東。
北東は陰陽道(おんみょうどう)で鬼が出入りする方角とされ鬼門と呼ばれています。
万事に忌むべき方角とされているのです。
なので、鬼門の方角の柱に穴をあけることで、邪気を逃がす役割を持たせているのですね。
柱の直径と穴の大きさは?場所は大仏殿のどこ?
穴というと、円形や楕円形をイメージしがちですが、大仏殿の柱の穴は長方形に近い形です。
画像にも記していますが、穴の大きさは下記の通り。
- 縦:約37㎝
- 横:約30㎝
ちなみに”穴の奥行”、つまり柱の直径は約120㎝。
小さな子どもだと、頭の先から足先までがすっぽり納まる深さです。
柱くぐりができる場所は、前述の通り、大仏殿の北東の位置です。
写真を撮影したのは、5月のゴールデンウイークの祝日の午前8時30分頃です。
大型連休中の祝日とはいえ、朝早いので参拝者は少ないですが、全くいないというわけではなく、数人だけ行列ができています。
上の画像の右端に大仏の左脇侍(参拝者から見ると大仏の右側に祀られる)の如意輪観音像の光背の背面が見えます。
ちょっとブレてますけど(汗)
大仏殿の拝観は、アナログ時計でいうと、大仏が時計盤の中央にあり、参拝者は6時の方向から時計回りに大仏殿内を…大仏の周りを一周するような順路で進みます。
柱くぐりができる北東は大仏の左後ろ側に位置し、時計盤でいうと1時と2時の間なので、大仏殿の拝観の後半です。
柱くぐりのコツは?大人は抜けられない?
子どもなら柱の穴は抜けられるだろうけど、大人はどうでしょう?
男性は肩とお腹、女性は胸とお腹とお尻が引っ掛からないか心配ですね。
大仏殿に行って、柱くぐりをしている人を実際に見ると、大人でも柱くぐりをしている人が目に入ります。
体格・体型によっては大人でもくぐることができるのです。
標準より細めですが、成人男性である私もくぐれたので、成人女性だと平均以下の体格・体型なら確実にくぐれるはずです。
参考までに私が柱くぐりをした時の待ち時間を記載しますが、ハイシーズンではない時期の休日の午後2時頃だと、待ち時間は15分程度でした。
もちろんタイミングによって異なるのであくまで目安として見てください。
(大仏殿には複数回行っているので、当記事に掲載している画像は複数の日時に撮影したものが混在しています。
そのため人が少なそうに見える画像もあります。)
柱くぐりの記念撮影をするなら柱の出口側(画像でいうと右側)でカメラを構えて待機してもらい、「穴の中からこんにちは!」と頭をのぞかせたタイミングで撮影すると良いでしょう。
ただし、何枚も記念撮影をすると柱くぐりの行列に並ぶ人の待ち時間が長くなるため、1枚だけにするように注意書きがされています。
看板の文言を抜き出しておきます。
大仏殿ご参拝の皆様へ お願い
柱くぐり付近は大変混雑することから、待ち時間が長く苦情が寄せられています。
より多くの皆様に手際良く柱くぐりしていただけますよう、記念写真は一人一枚でお願い致します。
ご協力ください。
上の画像の赤丸で囲んだ場所は、柱のほかの部分と比べるとツルツルテカテカしています。
これまでに何千何万という人が柱の穴くぐりをする時に、ここに手をかけたため擦り減っているのです。
柱の穴の中も胴体が通り抜ける時の摩擦でツルツルになっています。
柱は国宝建造物である大仏殿の一部ですから、文化財保存の観点でいうと、国宝を物理的にすり減らすという何気なく恐ろしいことをしてしまっているのですけど。
穴の形は少し縦長の長方形であるため、通り抜ける時はお腹をつけるのではなく、脇腹をつけた状態でくぐりましょう。
穴の前でしゃがんだら、腰を前に曲げて、その状態で腰を90度ひねるように回します。
そして片腕を頭の方に伸ばして、伸ばした腕と頭を穴の中に入れます…文章で書くとわかりづらいですね。
イメージとしては次の画像のように腕を伸ばして穴の中にもぐりましょう。
画像出典:フリー素地の来夢来人
どちらの腕を伸ばしてもいいのですが、画像でいうと伸ばした右手を穴の出口にかけます。
今さっき貼り付けた写真の赤丸のどちらかにです。
上のクロールで泳ぐイメージ画像の体勢だと向かって右側の赤丸に右手をかけることになります。
この時、左手はお腹の前に添えています。
穴の出口にかけた右腕の力で、体を滑らせるように出口側に引っ張りながら、左手も伸ばして出口にかけ、両腕の力で体を引きずり出します。
お尻が引っ掛からなければ、このままスムーズに抜け出せますよ。
体を穴の中に入れながら、後でかけた方の手(当記事の説明だと左手)を出口まで持っていくやり方を紹介していますが、穴の中は胴体だけでなく片腕も通せるスペースがあるということです。
お腹の大きな人だと、このやり方じゃ抜けられないかもしれませんが。
土足でくぐるので、前の人が柱くぐりをした時に、靴の汚れが穴の中に付着することがあるかもしれません。
曇りの日に友人は白い服装で穴をくぐったところ、服に汚れはぜんぜん付着しませんでした。
悪天候で地面がぬかるんでいなければ大丈夫そうですが、黒っぽくて汚れが目立ちにくい服装でくぐる方が無難でしょう。
私は柱くぐりの時だけ、アウターを脱ごうと思っていたので、インナーだけ黒い服を着ていきました。
柱くぐりをする(かもしれない)場合は、念のため汚れてもいい服で行くことをおすすめします。
通り抜けれられるのか不安な場合は、柱くぐりをしている人の体型を実際に見てからくぐるか決めても良いです。
私もやってみるまでは不安で、清水の舞台から飛び降りる気持ちでくぐりましたから。
インターネットで柱くぐりの画像や動画を検索してみれば、大人の男性が通り抜けしているものもありますので、それらを参考にするのも良いでしょう。
大丈夫そうと思っても、引っ掛かって自力で出られなくなると、引っ張り出してもらわなければならないのでかなり恥ずかしい思いをすることなりそうです。
なんせ、そこは東大寺の中で最も観光客が多い大仏殿ですからね。
無理そうだけどどうしても挑戦してみたいという場合は、開門時間すぐか閉門時間まぢかの人が少ない時間帯に行くことをおすすめします。
東大寺大仏殿の柱の穴・柱くぐりのまとめ
- 柱の穴は鬼門封じ(魔除け)の意味がある
- 穴をくぐると無病息災や願いが叶うなどのご利益があるとされている
- 穴の大きさは縦37cm・横30cm・奥行120cm
- 大仏の鼻の穴と同じ大きさ
- 柱くぐりができる場所は大仏殿の北東側
- 大人でも体型によってはくぐることができる
- コツは手を穴の出口にかけて腕の力で通り抜けること
- 汚れてもいい服装の方が無難
- 不安なら柱くぐりをしている人を見てから決めるのもあり
- ダメ元でやるなら人が少ない早朝か夕方に行く方が良いかも