仏像は如来・菩薩・明王・天に大別できますが、この記事ではその中でも菩薩について紹介します。

それぞれの菩薩の特徴や意味とともに、他の菩薩の区別の仕方も見ていきましょう。

弥勒菩薩

弥勒菩薩は菩薩なので修行中の身ですが、釈迦如来の次に悟りを開いて如来になるとされています。

弥勒菩薩が如来になるのは、釈迦がこの世を去ってから56億7千万年後とされていて、遠い未来に成仏して如来になることから未来仏とも呼ばれます。

弥勒についての詳細は弥勒如来の説明しているので、そちらも参考にしてください。

弥勒菩薩の像容は大きくわけて半跏思惟像と菩薩形の像の2種類があります。

1つめ半跏思惟像について説明します。

半跏(はんか)とは台座に腰掛けて、片脚を下に垂らし、もう片方の脚を垂らした脚の膝の上に乗せる座り方です。

思惟(しい、しゆい)とは深く考えることを意味します。

弥勒菩薩の半跏思惟像は、遠い未来に衆生を救済する時にどのように救済するかを考えている姿を表したものです。

弥勒菩薩の半跏思惟像は奈良時代以前の古い時代に作成され、作例としては京都市広隆寺の2躯の弥勒菩薩半跏思惟像(通称:宝冠弥勒と泣き弥勒)が著名です。

すべての半跏思惟像が弥勒菩薩というわけではなく、如意輪観音やその他の菩薩の場合もあるので、

半跏思惟像=弥勒菩薩と考えないようにしてください。

2つめの他の菩薩に近い菩薩形をしている弥勒菩薩について説明します。

菩薩形の弥勒菩薩は鎌倉時代に多く作成されました。

像容は宝冠をかぶっていて一般的な菩薩と同じように髪は結い上げています。

持物として小さな仏塔を持つものが一般的です。

京都市の醍醐寺三宝院にある弥勒菩薩坐像のように膝の上に組んだ手の上に塔を乗せた作例もあれば、ボストン美術館所蔵の弥勒菩薩立像(快慶作)のように手に持った水瓶に活けた蓮の上に塔を乗せた作例もあります。

仏塔を持たない弥勒菩薩の作例もあって、その場合は他の菩薩と見分けるのは困難です。

有名な弥勒菩薩像をピックアップ!
・広隆寺霊宝殿(京都市) 弥勒菩薩半跏思惟像(宝冠弥勒) 国宝
・広隆寺霊宝殿(京都市) 弥勒菩薩半跏思惟像(泣き弥勒) 国宝
・醍醐寺三宝院(京都市) 弥勒菩薩坐像(快慶作) 重要文化財

観音菩薩

観音菩薩は日本人に親しまれている菩薩で、救済しようとする相手に適した姿に変化して救います。

法華経に三十三の姿に変化すると書かれている事から三十三の姿に変化できるとされていますが、実際には三十三を超える数のバリエーションが存在します。

観音菩薩のバリエーションを変化観音(へんげかんのん)といいます。

多くの種類が存在する観音菩薩ですが、他の菩薩を区別するポイントは宝冠に小さな阿弥陀如来の化仏(けぶつ)が置かれているかどうかです。

この記事では日本で仏像としての作例が多い六観音(ろくかんのん)を紹介します。

六観音というのは六道輪廻(ろくどうりんね)の思想に基づいて生まれた六種類の観音の総称です。

六道輪廻とは、この世に生きるすべてのものは、六道という六種類の世界に生まれてなくなることを何度も繰り返し、さまよい続けることです。

六道は苦しみの度合が異なる6段階の世界のことで、上から天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道を分けられてます。

六道をさまよい生きものがこの世を去ると生前の行いに応じて次に生まれ変わる世界が決まります。

六道にはそれぞれの世界を救済する観音菩薩が1種類ずつ存在します。

これが六観音で、天道から地獄道にかけて順番に、如意輪観音(にょいりんかんのん)、准胝観音(じゅんていかんのん)か不空羂索観音(ふくうけんさくかんのん)、十一面観音(じゅういちめんかんのん)、馬頭観音(ばとうかんのん)、千手観音(せんじゅかんのん)、聖観音(しょうかんのん)が割り当てられています。

六観音なのに七種類の観音が存在するのは、真言宗系では人間道に割り当てられているのが准胝観音で、天台宗系では人間道に割り当てられているのが不空羂索観音だからです。

それでは六観音について順番に説明していきます。

聖観音

数ある観音菩薩の中で原形となるのが聖観音(しょうかんのん)で、地獄道の衆生を救済します。

像容は観音菩薩に共通するものとして、宝冠に小さな阿弥陀如来が置かれているものがほとんどです。

観音菩薩像は仏教が伝来した飛鳥時代から作成されましたが、古い時代のものには宝冠に小さな阿弥陀如来が置かれていません。

他の変化観音は多面多臂(ためんたひ:面は顔、臂は腕の数を示す)が多いですが、聖観音は1面2臂(頭が1つで腕が2本)なのが一般的です。

持物は左手に蓮の華を持つ作例が多いですが、奈良市の薬師寺にある聖観音菩薩立像のように蓮の華を持たずに施無畏印を結ぶ作例もあります。

有名な聖観音像
・薬師寺東院堂(奈良市) 聖観音立像 国宝
・鞍馬寺(京都市) 聖観音立像(肥後定慶作) 重要文化財 月曜日と冬期は拝観不可
・観世音寺(福岡県太宰府市) 聖観音立像 重要文化財
・不退寺(奈良市) 聖観音立像 重要文化財

千手観音

名前の通り腕が1000本あるという特徴的な姿で最も知られている変化観音が千手観音で、餓鬼道の衆生を救済します。

千本の腕にはどのような衆生をも漏らさず救済しようとする慈悲と力の広大さを表しているとされます。

しかし、仏像の作例で実際に1000本の腕があるものは稀で、2本の本手と40本の脇手を合わせた42本の腕を持つものが一般的です。

脇手の1本が25の俗世間の生きものを救済するとされていて、40本の脇手 × 25の俗世間 = 1000 になるので、2本の本手と合わせた42本の腕を持つ作例が多いです。

葛井寺(1041本)や唐招提寺(元々1000本あったと思われるが現在は953本)の千手観音のように1000本の腕を持つ千手観音を真数千手と呼びます。

千手観音の頭上には十一面観音と同様に頭上面が10つか11つある場合が多いです。

京都市の清水寺にある千手観音立像は42本の腕の中の2本を頭上に上げて組む形をしていて「清水型千手観音」と呼ばれます。

他の寺院でも清水型の千手観音が祀られている場合があります。

有名な千手観音像をピックアップ!
・葛井寺(大阪府藤井寺市) 千手観音坐像 国宝 毎月18日のみ公開
・唐招提寺(奈良市) 千手観音立像 国宝
・三十三間堂(京都市) 千手観音坐像(湛慶作) 国宝
・道成寺(和歌山県日高郡日高川町) 千手観音立像 国宝
・清水寺(京都市) 千手観音立像(清水寺型千手観音) 原則33年に一度公開(お前立ち)

馬頭観音

名前のとおり馬の頭を持つが馬頭観音で、馬の守護仏として民間信仰されました。

畜生道の衆生を救済する観音で、馬のみならず他の畜生類も救済します。

馬頭観音は他の観音とは異なり、憤怒相なのが大きな特徴です。

明王と区別しづらいと感じるかもしれませんが、頭上に馬の頭を乗せているので馬の頭があれば馬頭観音だとわかります。

馬頭観音の顔と腕の数は様々ですが、福井県高浜町の中山寺と馬居寺にある馬頭観音坐像のように3つの顔と8本の腕を持つのが一般的です。

京都府木津川市の浄瑠璃寺や福岡県太宰府市の観世音寺の馬頭観音立像のように4つの顔と8本の腕を持つ作例もあります。

馬頭観音は農村地帯などの路傍に石仏として建てられていることがありますが、寺院に安置されている数はそれほど多くありません。

有名な馬頭観音像をピックアップ!
・中山寺馬頭観音坐像(福井県高浜町) 重要文化財 毎年2月3日に開帳、それとは別に33年に一度開帳され、間の17年目に中開帳あり 2014年以降「みほとけの里 若狭の秘仏」でも公開
・馬居寺(福井県高浜町) 馬頭観音坐像 重要文化財 24年に一度の午年に本開帳、間の12年目の午年に中開帳あり 2014年以降「みほとけの里 若狭の秘仏」でも公開
・浄瑠璃寺(京都府木津川市) 馬頭観音立像 重要文化財 奈良国立博物館の奈良仏像館で展示 常設ではないので展示期間の確認が必要
・観世音寺(福岡県太宰府市) 馬頭観音立像 重要文化財

十一面観音

名前の通り11つの顔を持つ観音が十一面観音で、変化観音の中で最も古いとされています。

修羅道の衆生を救済します。

大きな顔を本面といい、本面の上に11つの小さな頭(頭上面)が乗っている像が多いですが、頭上面が10つやそれ以外の数の作例もあります。

頭上面の中で頂上にある面が如来面で、他が菩薩面である場合が一般的です。

頂上の如来面は臨終や転生に関する4つのご利益を表し、他の菩薩面は10つの現世利益を表しています。

腕は2本の作例がほとんどで、右手を施無畏印に組み、左手に水瓶を持つのが一般的です。

左手の水瓶には蓮の華が活けられている作例もあります。

京都市の法金剛院の十一面観音菩薩坐像のように4本の腕を持つ作例もありますが、稀です。

奈良県桜井市の長谷寺には錫杖(しゃくじょう)という通常、地蔵菩薩が持つ杖を右手に持った十一面観音が祀られていますが、錫杖を持った十一面観音を「長谷寺式十一面観音」と呼びます。

この形式の十一面観音は神奈川県鎌倉市の長谷寺やその他の長谷寺などでも安置されています。

有名な十一面観音像をピックアップ!
・聖林寺(奈良県桜井市) 十一面観音立像 国宝
・法華寺(奈良市) 十一面観音立像 国宝
・室生寺金堂(奈良県宇陀市) 十一面観音立像 国宝
・向源寺(滋賀県長浜市) 十一面観音立像 国宝
・長谷寺(奈良県桜井市) 十一面観音立像(長谷寺式十一面観音) 重要文化財

不空羂索観音

天台宗で人間道の衆生を救済するとされるのが不空羂索観音です。

変化観音の中では十一面観音の次に古いとされています。

羂索とは網のことで、煩悩を縛って人々を救済することを意味し、不空とは空しくないと言うことで失敗しない確実さを意味します。

不空羂索とは漏らすことなく人々を救済する意味があり、不空羂索観音が強い救済の力を持つことを表しています。

経典に書かれる不空羂索観音の像容は様々ですが、仏像としての不空羂索観音の作例は少ないです。

日本国内の代表的な不空羂索観音像の像容は、顔が1つで、眉間の間に第3の目を持ち、6本あるいは8本の腕があります。

名前にもついている、紐のような形状の羂索を持っていることも特徴です。

有名な不空羂索観音像をピックアップ!
・東大寺法華堂(奈良市) 不空羂索観音立像 国宝
・興福寺南円堂(奈良市) 不空羂索観音坐像 国宝
・広隆寺霊宝殿(京都市) 不空羂索観音立像 国宝
・観世音寺(福岡県太宰府市) 不空羂索観音立像 重要文化財

准胝観音

真言宗で人間道の衆生を救済するとされるのが准胝観音です。

准胝観音は変化観音の一種とされる一方で、准胝仏母、七倶胝仏母と呼ぶ経典もあり観音ではないとする説もあります。

仏母と呼ばれるのは過去に無数の仏を生み出したとされるからです。

仏母と呼ばれることから安産、子授けのご利益があるとされます。

准胝観音の作例は少ないですが、顔は1つで、眉間に第3の目を持ち、18本の腕を持つ像が一般的です。

観音菩薩と他の菩薩を区別する目印となる阿弥陀如来の化仏が置かれた宝冠をかぶらない作例もあります。

阿弥陀如来の化仏を乗せていないのは、観音として珍しいことですが、これは准胝観音を観音の一種としない説があるからだとされます。

腕が多いので千手観音と見間違いそうになりますが、准胝観音は千手観音のように頭上面を持っていません。

腕の数も一般的に千手観音が42本に対して、准胝観音は18本と少ないので、そこも見分けるポイントになります。

有名な准胝観音像をピックアップ!
・醍醐寺の准胝観音坐像(京都市) 毎年5月15日~21日に公開
・大報恩寺(京都市) 准胝観音立像(六観音像の1躯) 重要文化財
・文化庁(新薬師寺旧蔵) 准胝観音立像 重要文化財 奈良国立博物館のなら仏像館で展示 常設ではないので展示期間の確認が必要 

如意輪観音

天道の衆生を救済するのが如意輪観音です。

如意輪の如意とは思いのままと言う意味で、如意輪観音は如意宝珠(にょいほうじゅ)というあらゆる願いを叶える玉のようなものを持っています。

如意輪の輪とは法輪(ほうりん)のことで、煩悩を破壊する法具です。

如意輪観音像の99.99%が坐像か半跏像と思われるほど立像が少ないのが特徴です。

顔は1つですが、腕は2本か6本のどちらかです。

腕が2本の場合は如意宝珠も法輪も持っていません。

作例として滋賀県大津市の石山寺本堂の如意輪観音半跏像や奈良県高市郡明日香村の如意輪観音坐像などがあります。

腕が6本の場合は右の第2手(真ん中の手)に如意宝珠を持ち、法輪を第3手(背中側の手)に持つのが一般的です。

作例として大阪府河内長野市の観心寺の如意輪観音坐像や室生寺本堂の如意輪観音坐像などがあります。

有名な如意輪観音菩薩像をピックアップ!
・観心寺金堂(大阪府河内長野市) 如意輪観音坐像 国宝 毎年4月17日と4月18日のみ開帳
・石山寺本堂(滋賀県大津市)の如意輪観音半跏像 重要文化財 原則33年に一度だけ開帳
・宝菩提院願徳寺(京都市) 半跏菩薩像 国宝
・岡寺(奈良県高市郡明日香村) 如意輪観音坐像 重要文化財
・室生寺(奈良県宇陀市) 如意輪観音坐像 重要文化財

地蔵菩薩

「お地蔵さん」というと、現代の日本人に最も親しまれている仏ではないでしょうか?

そんなお地蔵さんは菩薩の一種です。

地蔵とは大地の母体を意味し、大地が全ての命を育む力を蔵するように、苦悩する人々を無限の大慈悲の心で包み込み救済します。

釈迦如来がこの世を去ってから弥勒如来がこの世に現れるまで56億7千万年かかりますが、この間は如来(=狭義の意味の仏)がおらず、無仏の時代といいます。

この無仏の時代は世の中の秩序が乱れる暗黒時代とされていて、長く続く暗黒時代に私たちが住む娑婆世界に敢えて留まり、人々の救済を行うのが地蔵菩薩です。

また、六道輪廻の思想(詳細は観音菩薩の項目で説明)とも地蔵菩薩は深い関係があり、六道の六つ世界で苦しむ衆生を地蔵菩薩が救済するというとされています。

髪はご存じのとおり僧侶のように剃髪していて、装身具を着けないか着けても瓔珞(ようらく:ネックレス)くらいであることが多いです。

持物は右手に六道の世界をまわるために錫杖という杖を持ち、左手にはあらゆる願いを叶える宝珠という法具を持つ作例が最も多いです。

ですが古い時代の作例では、左手に宝珠は持つものの、右手には錫杖を持たずに与願印を結ぶものが多いです。

錫杖を持たない地蔵菩薩の作例としては奈良県生駒郡斑鳩町の法隆寺の地蔵菩薩立像があります。

子どもを守る菩薩としても厚く民間で信仰され、幼くしてこの世を去った子どもや水子の供養として現在も根強く信仰を集めています。

有名な地蔵菩薩像をピックアップ!
・法隆寺大宝蔵殿(奈良県生駒郡斑鳩町) 地蔵菩薩立像 国宝
・建長寺(神奈川県鎌倉市) 地蔵菩薩坐像
・安産寺(奈良県宇陀市) 地蔵菩薩立像 重要文化財
・瑞林寺(静岡県富士市) 地蔵菩薩坐像(康慶作) 重要文化財
・六波羅蜜寺(京都市) 地蔵菩薩坐像(伝運慶作) 重要文化財

虚空蔵菩薩

虚空蔵の虚空とは空間的な広がりのことで、虚空蔵菩薩は果てしなく広がる大空のように広大無辺な智慧と慈悲を持つ菩薩とされています。

そのため人々に智慧を授ける菩薩とされていて、記憶力向上や智慧、知識の面のご利益で信仰されています。

持物は右手に宝剣、左手に宝珠を持つ場合や右手で与願印を組み、左手に宝珠を持つ場合もありますが、それ以外の作例もあります。

有名な虚空蔵菩薩像をピックアップ!
・神護寺(京都市) 五大虚空蔵菩薩坐像 国宝 毎年5月13日~15日と毎年10月上旬~中旬頃の3日間のみ公開
・醍醐寺(京都市) 虚空蔵菩薩立像 国宝 常時公開ではないので公開期間の確認が必要
・東寺観智院(京都市) 五大虚空蔵菩薩騎像 重要文化財 毎年春と秋の一定期間のみ公開
・文化庁(額安寺旧蔵) 虚空蔵菩薩半跏像 重要文化財 奈良国立博物館のなら仏像館で展示 常設ではないので展示期間の確認が必要

文殊菩薩

「三人寄れば文殊の智慧」ということわざがあるように、文殊菩薩はすぐれた智慧を持つ菩薩とされています。

文殊菩薩は獅子の上の蓮華座に坐る像が多いですが、獅子に乗らないものもあります。

持物は右手の宝剣を持ち、左手に経典を持つものが多いです。

経典は智慧を象徴し、宝剣は智慧が智慧が研ぎ澄まされていることを表しています。

髪はまげを結っていますが、まげの数が様々で1つの場合もあれば、5つや6つ、8つの場合もあります。

文殊菩薩には渡海文殊と呼ばれる形式の像があります。

これは獅子の上の蓮華座に坐った文殊が4人の眷属(けんぞく:従者のこと)を連れて大海原を渡る姿を表したものです。

奈良県桜井市の安倍文殊院の文殊菩薩騎獅像が渡海文殊の代表作として知られています。

有名な文殊菩薩像をピックアップ!
・安倍文殊院(奈良県桜井市) 文殊菩薩騎獅像(渡海文殊 快慶作) 国宝
・興福寺東金堂(奈良市) 文殊菩薩坐像 国宝
・東京国立博物館(東京都台東区) 文殊菩薩騎獅像(渡海文殊) 重要文化財 常設ではないので展示期間の確認が必要です
・東京国立博物館(東京都台東区) 文殊菩薩立像 常設ではないので展示期間の確認が必要です

普賢菩薩

普賢の普は行き渡ること、賢は吉祥(めでたいこと)を意味し、普賢とはあらゆるご利益をもたらすことを示します。

普賢菩薩は白い象の上の蓮華座に坐っているのが一般的ですが、古い時代のものは象の上に乗らない作例もあります。

手は2本で両手を胸の前で合掌するものが最も多いです。

文殊菩薩が智慧を司る菩薩であるのに対して、普賢菩薩は行(修行を意味する)を司る菩薩です。

仏教では智慧と行のバランスが大切とされていて、両者が備わって仏教の教え(すなわち釈迦如来の教え)が完全なものになるとされています。

このことから普賢菩薩は文殊菩薩と密接に関係があり、釈迦如来・文殊菩薩・普賢菩薩の三尊がセットで祀られることが多いです。

有名な普賢菩薩像をピックアップ!
・大倉集古館(東京都港区) 普賢菩薩騎象像 国宝 2014年4月から休館、再開館は2019年の予定
・岩船寺(京都府木津川市) 普賢菩薩騎象像 重要文化財
・願興寺宝物殿(岐阜県可児郡御嵩町) 釈迦三尊像の脇侍 重要文化財 電話予約が必要