東大寺の木造弥勒仏坐像は2015年(平成27年)に国宝に指定された仏像彫刻です。

通称・試みの大仏と呼ばれてきました。

この記事では木造弥勒仏坐像の特徴や、東大寺境内のどこで拝観できるのか?といった情報を掲載します。

東大寺木造弥勒仏坐像の特徴は?国宝指定された理由は何?

木造弥勒仏坐像(もくぞうみろくぶつざぞう)1軀

【大きさ】像高39.0センチメートル

【所有者】宗教法人東大寺(奈良県奈良市雑司町406-1)

 

 

東大寺の木造弥勒仏坐像が2015年(平成27年)に国宝指定された時の文化庁の解説は次の通りです。

東大寺法華堂に伝来した弥勒仏像である。

鎌倉時代には、東大寺の創建に関わった良弁僧正(ろうべんそうじょう)が自ら造ったという伝説を伴い、

あつく信仰されていたことが知られている。

頭部を大きく、上半身を幅広に造り、小さな像とは思えない雄大な造形を示すところから、

「試みの大仏」つまり大仏を造るにあたっての試作品という呼び名があ る。

平安時代前期の彫刻の名作として国宝に指定する。

引用元:平成27年文化庁報道の文化審議会答申~国宝・重要文化財(美術工芸品)の指定について~

 

平安時代初期の仏像は天平時代や鎌倉時代のように写実的ではなく、体の一部を誇張するダイナミックな表現をするものもありますが、

弥勒仏坐像も大きな目と鼻を配することでインパクトのある面相の仏像となっています。

着衣のひだの掘り具合も深く太いもので、この点も平安初期の仏像の特徴を示していると言えるでしょう。

 

国宝・木造弥勒仏坐像の姿は菩薩形じゃなく如来形

弥勒像には菩薩形の像と如来形の像が造像されますが、東大寺の弥勒仏坐像の髪型は螺髪(らほつ)で、

菩薩の特徴である装身具も身につけない如来形の姿で造像されています。

 

弥勒仏坐像の右手は掌を正面に向けて立てる施無畏印(せむいいん)で、左手は地面に着くように手を伏せる触地院です。

この印相の弥勒仏像の中で、東大寺の木造弥勒仏坐像は最古の例なんだそうです。

 

国宝・木造弥勒仏坐像を拝観できるのは東大寺のどこ?

木造弥勒仏坐像は東大寺ミュージアムに展示されています。

東大寺ミュージアムは東大寺の文化財を展示する施設で、仏像彫刻以外の文化財も展示されています。

 

東大寺ミュージアムの展示内容は常の同じというわけではないので、

国宝の弥勒仏坐像がいつも展示されているとは限りません。

 

展示品は東大寺ミュージアムの公式ホームページに記載されていません。

東大寺ミュージアムに行く前に電話で展示品を確認をすることをおすすめします。

 

※2017年4月30日追記
弥勒仏坐像は2017年4月8日~6月4日の期間が大阪市立美術館で開催される特別展「木×仏像」に展示されています。