石山寺の本尊の如意輪観音菩薩は秘仏で原則33年に1度のみ御開帳されると知られていますが、33年に1度の周期以外でも開帳されることがあります。
この記事では石山寺本尊の如意輪観音像が公開される頻度はどれくらいなのか?2017年以降の御開帳はいつなのか?などについて触れます。
石山寺の本尊 如意輪観音とは?
勅封秘仏・如意輪観音半跏像の概要
石山寺の秘仏・如意輪観音半跏像は石山寺本堂に安置されている石山寺の本尊で、国の重要文化財に指定されています。
日本で唯一の勅封秘仏です。
勅封秘仏とは天皇の命令によって封印された秘仏のことで、石山寺と天皇の関係性の強さが感じられますが、この関係性の強さが後述する御開帳の時期にも関係します。
現在の本堂の内陣は1096年頃に再建されたものですが、如意輪観音半跏像は本堂の再建と同じ時期に造像とされたと見られています。
表情や衣紋の線が穏やかで温和な作風で、平安時代中期以降の仏像の特徴が見られます。
平安時代以降の如意輪観音像は一面六臂のの作例が増えますが、石山寺の如意輪観音像は一面二臂です。
如意輪観音半跏像の像高およそ3メートルですが、半跏像でおよそ3メートルですからかなりの巨像です。
石山寺という寺号の通り、境内には凝灰岩がありますが、如意輪観音半跏像は凝灰岩の岩座の上に座っています。
普段は閉ざされた厨子の扉の前に桃山時代に造像された御前立が安置されていて、直接拝めるのはこの御前立ということになります。
なお、本堂内から外に向けて写真を撮るのは良いですが、本堂内部の写真撮影は禁止されています。
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現在の本尊は2代目
現在の石山寺の本尊は平安時代に造像された木造(檜の寄木造)の如意輪観音ですが、この像は2代目の本尊です。
旧本尊は石山寺創建期の奈良時代に塑像で造像された如意輪観音ですが、1078年の本堂の火災の時に大きく損壊しました。
旧本尊は断片しか残っていませんが、その断片からも塑像であることや巨大だったことがよくわかります。
塑像の巨像の現存作は少ないので、なおさら旧本尊の損壊が惜しまれます。
旧本尊は損壊しましたが、旧本尊の前立仏は現存しています。
旧本尊の御前立ちは平安時代後期の作で重要文化財に指定されてます。
通常は非公開ですが、石山寺の豊浄殿(宝物館)で公開されることがあります。
本尊の厨子内に安置されているのは如意輪観音だけじゃない
厨子内に安置されているのは如意輪観音半跏像だけではなく、脇侍として執金剛神立像、蔵王権現立像が安置されています。
如意輪観音と執金剛神、蔵王権現の組み合わせは非常に珍しいですね。
両脇侍の像高は見たところ等身大かそれよりやや小さいくらい。
近くにいた団体のガイドの方の案内によると両脇侍はともに修復されている部分が多いとのこと。
両脇侍の足元には片手で掴めそうな大きさの石がゴロゴロしています(石は境内にあったものが意図的にまかれている?)
明治時代以降の石山寺本尊の御開帳実績一覧
石山寺には過去の御開帳を記録した文書が遺されています。
それを見ると、985年11月1日から37日間に渡って本尊の御開帳があったようです。
その時期になぜ御開帳が行われたのか?
円融院が石山寺に御幸した際に御開帳が行われたとのことです。
985年は旧本尊が損壊する前のことですね。
平安時代中期から江戸時代までの御開帳も記録されていますが、ここではそれらは割愛しまして、明治時代から2016年の御開帳までの御開帳の一覧を掲載します。
石山寺如意輪観音像の御開帳一覧
1870年 明治天皇即位御開扉(即位御開帳)
1878年11月13日 明治天皇御幸御開帳(御幸御開帳)
1883年4月16日~?月?日 33年ごとの御開帳
1893年 33年ごとの御開帳(33年の周期に合わない?)
1910年10月8日~10月19日 皇太子(のちの大正天皇)の行啓臨時御開扉
1916年4月6日~5月25日 大正天皇即位御開扉(即位御開帳)
1928年4月6日~5月5日 昭和天皇即位御開扉(33年ごとの御開帳かつ即位御開帳、33年の周期に合わない?)
1961年 33年ごとの御開帳
1991年4月10日~4月30日 今上天皇(平成の天皇)即位御開扉
2002年8月1日~12月16日 聖武天皇勅願開基1250年特別御開扉
2009年3月1日~5月31日、9月1日~12月16日 花山法皇一千年御遠忌
2016年3月18日~12月4日 33年ごとの御開帳(33年の周期に合わない?)
一覧を見て頂ければわかるように、33年ごとに1度の御開帳以外にも天皇即位の後に御開帳が実施されています。
さらに天皇の御幸の際にも御開帳が行われるのが原則だそうで、明治時代以降では1878年の明治天皇の御幸が御幸の御開帳に該当します。
大正天皇の場合は、1910年に皇太子時代の行啓でも御開帳が行われています。
33年ごとの御開帳の理由で開扉されていても、ところどころ33年の周期に合わない御開帳があるのが気になります。
私の数え方に誤りがあるのでしょうか?
2016年の次の御開帳の期間はいつ?
次回の石山寺本尊の御開帳期間はいつなのでしょうか?
33年ごとの御開帳だと2049年になるはずです。
しかし石山寺の御開帳一覧のところでも触れたとおり、天皇の即位と天皇の御幸でも御開帳が行われます。
今上天皇の生前退位についてのニュースが2016年夏頃に各種メディアで大きく取りあげられましたが、結果がどうなるにしても、それより西国三十三所の御開帳の方が早いのではないかと個人的には思います。
西国三十三所関連の過去の御開帳は、花山法皇一千年御遠忌の御開帳のみです。
花山法皇一千年御遠忌の御開帳とは、西国三十三所の中興の祖である花山法皇の一千年忌が2008年にあたることから2008年から2010年にかけて西国三十三所のすべての札所で御開帳が実施されたというものです。
石山寺は西国三十三所の第十三番札所ですので、この時に御開帳がありました。
それが2009年3月1日~5月31日、9月1日~12月16日の御開帳にあたります。
この御開帳で西国三十三所の記念年に御開帳が行われるという実績ができました。
そこで私が石山寺の次回の御開帳の可能性があると考えるのが2020年です。
御開帳の2018年は西国三十三所の草創1300年にあたります。
奈良の長谷寺の開山である徳道上人が西国三十三所を草創したのが718年なので、2018年はそれから1300年後にあたることから西国三十三所の札所では2018年とその前後の2年を合わせた5年間(2016年~2020年)に特別公開が予定されています。
特別公開の対象は、普段は非公開のお堂、秘仏諸尊、庭園、そのほかの寺宝でお寺にある文化財全般が対象ということです。
2016年も各札所で様々な特別公開が実施されました。
2016年11月現在は、2017年以降の各札所の特別拝観情報が発表されていませんが、何かしら特別公開されることは確かです。
石山寺の本尊は2016年に開帳されましたが、2020年までの間に短期間であったとしても再び公開される可能性はあると思います。
草創からちょうど1300年目にあたる2018年が最も特別公開が盛り上がりそうな気もしますが、2016年の御開帳から期間が短すぎるため、西国三十三所草創1300年記念イベントの最後の年にあたる2020年に御開帳があるのではないかと見ています。
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