石山寺に快慶作の大日如来坐像があります。
快慶らしい端正な顔つきの仏像で、快慶の作品の中でも比較的初期の頃の仏像として知られています。
ここでは、石山寺が所蔵する快慶の大日如来坐像やその公開期間などについて触れています。
石山寺多宝塔の快慶作・大日如来坐像とは?
石山寺多宝塔は現存する最古の多宝塔で国宝に指定されています。
多宝塔のシルエットは美しく、石山のオリジナル御朱印帳の表紙に採用されています。
大日如来坐像はそんな石山寺のシンボルのような存在の多宝塔の本尊です。
重要文化財に指定されています。
像高101.7メートル。
これは座高なので、等身大の像です。
木造で寄木造、玉眼。
智拳印を結び、結跏趺坐する金剛界の大日如来像です。
大日如来坐像は快慶作の仏像で、多宝塔が建立された1194年頃に造像されたと見られています。
快慶の無位時代の作品です。
鎌倉幕府の御家人、中原親能(なかはらちかよし)の妻・亀谷禅尼が発願してできたそうです。
大日如来坐像の像内には源頼朝の髪の毛が納められていたようですが、現在は内部に納入品はありません。
しかし、像内体部を黒漆塗りにしていることから、何かが納められていた可能性があるとも推測されています。
頭部から両肘を経て、両膝の皿を結ぶ線が三角形の空間を構成するため、安定感を感じさせる像です。
仏師には当然、利き手がありますので、仏像の造形で一見左右対称に造られているように見える部分でも、長さを計測すれば左右対称じゃないことはよくあるそうです。
日本一の知名度を誇るであろう仏師・運慶の作例でも左右対称ではないのが普通だそうですが、
快慶の仏像は左右対称に整っていることが比較的多いで、左右対称性は快慶の仏像の特徴の一つと言えます。
(もちろん、仏像がいかに左右対称に造られているかということと、仏像の価値が高いか低いかは別の話です。)
石山寺多宝塔の大日如来坐像は、像底が左右対称に狂いがないようで、その点で快慶の特徴を内包した仏像と言えるでしょう。
大日如来の公開期間や拝観の詳細は?
大日如来坐像は多宝塔にて常時公開されています。
多宝塔の扉口から金網越しではありますが内部を見ることができます。
多宝塔の内部には立ち入れないため、外から内側を見ることになります。
大日如来坐像までの距離は結構遠いです。
像の細部まで確認するなら単眼鏡や双眼鏡が必須です。
多宝塔内部はやや薄暗いですが、目が慣れれば見えます。
多宝塔の前で長居する人はそうはいない(いれば仏像好きか寺院建築好きでしょう 笑)ので、ゆっくりと拝観することができま
す。
この快慶作の大日如来坐像は、博物館・美術館の展覧会に出陳されることが結構あります。
展覧会での展示される時は石山寺で拝観する時より、近い距離で、色々な角度から見ることができるので、大日如来坐像をじっくりと拝観する機会はそれなりにあります。
2017年以降だと、この大日如来坐像は奈良国立博物館(奈良博)で開催される「快慶展」で展示されます。