2018(平成30)年に国宝に新指定(見込み)された仏像(彫刻)が報道されました。

新たに2件の仏像が国宝に指定され、彫刻の国宝件数が136件になります。

絵画、工芸品、書跡・典籍、古文書、考古資料、歴史資料などの美術工芸品のジャンルがある中、仏像を含む彫刻の部では4年連続で新国宝が誕生しています。

当記事では近年新指定された国宝仏像一覧を紹介します。

2013~2018年に新指定された国宝仏像件数

2013年以降の新指定国宝仏像彫刻の件数

  • 2013(平成25)年:2件
  • 2014(平成26)年:0件
  • 2015(平成27)年:2件
  • 2016(平成28)年:1件
  • 2017(平成29)年:3件
  • 2018(平成30)年:2件

 

6年で10件の新国宝が誕生!

 

2013(平成25)年以降の仏像彫刻の新国宝指定を振り返ると、6年間で2014(平成26)年以外の年に新国宝が誕生しています。

 

絵画、工芸品、書跡・典籍、古文書、考古資料、歴史資料のジャンルが新国宝が誕生しない年が少なくない中、彫刻の近年の新国宝指定件数は多いですね。

 

ちなみに、彫刻の部で2013(平成25)年より前に新国宝が誕生したのは、2005(平成17)年です。

近年は新国宝件数が多い彫刻ですが、2013年の新指定国宝誕生は、当時からすれば久しぶりの出来事だったと言えるかもしれませんね。

 

2013年以降の新国宝仏像一覧

2013年以降の過去5年間で誕生したの8件の国宝仏像を順に紹介します。

 

2013(平成25)年の新指定国宝仏像

2013年に国宝に仲間入りした仏像は次の2件です。

  1. 安倍文殊院(あべもんじゅいん)の木造騎獅文殊菩薩及び脇侍像
  2. 願成就院(がんじょうじゅいん)の木造阿弥陀如来坐像・木造不動明王二童子立像・木造毘沙門天立像

 

奈良県の安倍文殊院が所有する木造騎獅文殊菩薩及び脇侍像は5体で1件の国宝に指定されている快慶作の仏像です。

 

5人一緒の木造騎獅文殊菩薩及び脇侍像

  1. 文殊菩薩倚像(もんじゅぼさつ)
  2. 善財童子立像(ぜんざいどうじ)
  3. 優填王立像(うてんおう)
  4. 仏陀波利三蔵立像(ぶっだはりさんぞう)
  5. 最勝老人立像(さいしょうろうじん)国宝附指定

 

 

静岡県にある願成就院の諸像も5体で1件の国宝に指定されている運慶作の仏像です。

東海地方初の国宝仏像誕生ということも話題になりました。

 

こちらも5人一緒の願成就院諸像

  1. 木造阿弥陀如来坐像(あみだにょらい)
  2. 木造不動明王立像(ふどうみょうおう)
  3. 木造制吒迦童子立像(せいたかどうじ)
  4. 矜羯羅童子立像(こんがらどうじ)
  5. 木造毘沙門天立像(びしゃもんてん)

 

2013年は運慶と快慶の仏像が国宝に新指定され慶派がスポットライトを浴びた年でした。

 

2017年も運慶、快慶それぞれの作品を集めた本格的な展覧会が開催予定で、慶派が熱い年になりそうです!

やっぱり運慶が一番でしょ!→:運慶展が東京国立博物館で2017年に開催!展示品は?

運慶よりも快慶の方が好きだ→:快慶展が奈良国立博物館(奈良博)で開催!日程は?

 

 

2014(平成26)年の新指定国宝仏像は0件なので、2015(平成27)年に移ります。

2015(平成27)年の新指定国宝仏像

2015年に国宝に仲間入りした仏像は次の2件です。

  1. 醍醐寺(だいごじ)の木造虚空蔵菩薩立像
  2. 東大寺(とうだいじ)の木造弥勒仏坐像

 

どちらも平安初期の木彫仏ということが共通点ですね。

東大寺木造弥勒仏坐像を拝観するには?試みの大仏と呼ばれる国宝仏像

 

2016(平成28)年の新指定国宝仏像

2016年に国宝に仲間入りした仏像は次の1件です。

  1. 西大寺(さいだいじ)の木造叡尊坐像

 

奈良を中心に活動した善派(ぜんぱ)の善春(ぜんしゅん)作の仏像です。

 

叡尊坐像は東京・大阪・山口で開催される奈良西大寺展で展示されます。

奈良西大寺展の展示作品や期間は?2016年に国宝新指定の仏像も登場!

 

 

2017(平成29)年の新指定国宝仏像

2017年に国宝に仲間入りした仏像は次の3件です。

  1. 深大寺(じんだいじ)の銅造釈迦如来倚像
  2. 法華寺(ほっけじ)の木造維摩居士坐像
  3. 金剛寺(こんごおうじ)の木造大日如来坐像・木造不動降三世明王坐像

 

深大寺の釈迦如来倚像は飛鳥時代後期の代表作、

法華寺の維摩居士坐像は天平時代末期の名品、

金剛寺の大日如来坐像・不動降三世明王坐像は平安時代後期~鎌倉時代初期にかけての大作で

異なる時代の仏像が国宝に加わりました。

 

深大寺の釈迦如来倚像が国宝に指定!美しき白鳳仏の拝観方法は?

法華寺維摩居士坐像が平成29年国宝に新指定!十一面観音立像と同時拝観可能?

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2018(平成30)年の新指定国宝仏像

2018年に国宝指定(見込み)の仏像は次の2件です。

  1. 三十三間堂(さんじゅうさんげんどう:蓮華王院本堂)の千手観音立像
  2. 興福寺(興福寺)南円堂の四天王立像

 

興福寺の四天王像は、旧中金堂安置の四天王です。

 

三十三間堂の千体千手観音立像が2018年の新国宝指定へ!

興福寺の運慶父作・四天王立像が平成30(2018)年の国宝指定へ

 

国宝仏像一覧!2018年指定の2件の彫刻を追加して件数増加

ちなみに2013年より前に彫刻の部で新国宝が誕生したのは2005年と書きましたが、その時の新指定国宝は熊野速玉大社の4体の神像でした。