清水寺西門(さいもん)は、仁王門が建つ参道から少し外れた場所にある門です。
仁王門と比べると、あまり注目されない門ですが、絢爛豪華で特徴的な建築の門です。
この記事では西門の歴史・建築について紹介します。
清水寺西門の場所は境内のどこにある?
西門は図の中央より少し下の黄色の四角で囲んだ場所にあります。
近くには仁王門があり、西門の背面(東側)には三重塔があります。
画像右には西門が見えるので、仁王門との位置関係を把握できます。
西門の背面に建つ三重塔です。
清水寺西門の歴史と建築
西門は仁王門と同様に石段の上に建っています。
西門の大きさ
- 横幅約8.7m
- 奥行約3.9m
- 向拝約2m
- 高さ4m
丹塗りで、柱には極彩色の文様が描かれているほか、金箔飾りや彫刻が華やかな桃山時代の様式の門です。
4本の本柱の前後に8本の控え柱を持つ八脚門(やつあしもん)の形式です。
屋根は檜皮葺の切妻造。
通路が一間の三間一戸の構造で、正面の中央の一間には向拝がつき、背面には軒唐破風がつくという珍しい建築です。
平安末期の創建とされていますが、現存する西門は創建当初のものではありません。
清水寺境内で現存する建造物の多くは1629年(寛永6年)の火災で焼失していて、そののちに再建されたものです。
西門も寛永の火災後の建築ですが、1631年(寛永8年)にいち早く再建されました。
1908年(明治41年)4月23日に重要文化財に指定されています。
近年では1994年(平成6年)に修理が行われました。
ただし西門は2017年8月現在 工事中のため、覆いが掛けられていますので、外観は見えません。
工事用の覆いの上部から建物の屋根が見えていますが、これは西門の背面に建つ三重塔の屋根です。
ちなみに画像左端に少し写っている屋根は鐘楼のものです。
清水寺西門は一般の参拝者は通行できず、昔は天皇の勅使だけが通行を許されたことから勅使門(ちょくしもん)とも呼ばれます。
現在も参拝者は門の外観を近くで見ることはできますが、通行することはできません。
西門から夕日がきれいに見えるのは日想観のため
西門は西向きに建っていて、中央の間口には扉がないため、夕方に門の背面(東側)から表側(西側)を見ると、夕日がきれいです。
西の彼方には阿弥陀如来のおわします西方極楽浄土があるとされていて、その極楽浄土に生まれ変わることを極楽往生といいます。
西に沈む夕日を拝して、西方極楽浄土を想念することは、極楽往生するための日想観(にっそうかん)という修行で、西門は日想観の修行の場となっていました。
時期によっては、この門の戸口のあいだを夕日が通ります。
下記サイトに夕日がきれいに戸口の中央を通った時の画像が掲載されています。
http://konokisetunoichimai.blog.fc2.com/blog-entry-712.html
仁王門のある参道から少しずれた位置に建つことも通行のための門というより、祈りの空間であることを思わせます。
年間通して夕日が西門の間口からきれいに見えるわけではありませんが、夕方に清水寺を訪れたらぜひ西門から西の空を見てください!
西門が建っている場所のそばからは京都タワーが見えるので、探してみると楽しいかもしれません。
京都タワーの周囲を拡大したのが次の画像。
門に安置されている仏像は四天王の持国天と増長天
西門の両脇には仏像が1体ずつ安置されています。
四天王に属する持国天と増長天です。
西門の前方は開放的な空間となっていて、持国天と増長天は門の後部に安置されています。
鎌倉時代後期に造像された慶派の作です。
西門が1631年の建築ですから門より300年ぐらい古いです。
持国天立像は像高220.0cm。
増長天立像は像高215.0cm。
等身大以上ある大きな像で、ヒノキ材を用いた寄木造です。
もともとは彩色が施されていましたが、現在では彩色がほどんど剥落しています。
前述した通り、西門は通行できないし、門は石段の上にあるため少し見づらいです。
西門の前には画像の赤丸で囲んだ仕切りがあるため、そこまでしか進めません。
仕切りの手前まで進んでも、かなり見上げることになりますし、少し距離があるので遠目からにはなりますが、工事が終われば拝観することはできます。
清水寺の改修工事の期間はいつまで?清水の舞台には立ち入れる?
清水の舞台がある本堂も工事中です。