奈良の吉野山は関西で有名な桜の名所です。
普段は混雑していない吉野山も桜の見頃は、大勢の花見客でにぎわいます。
関西の駅や電車内(特に近鉄)で、吉野山の青い大きな仏像のポスター写真を見かけたことがある人もいるのではないでしょうか?
青い肌をした憤怒の形相で、手足を上げる姿はインパクトがあって一度見たら忘れられません。
どこのお寺の仏像なのか気になっている人もいるでしょう。
この記事では吉野の青い仏像の正体に迫ります!
吉野山の青い仏像はどこの寺にある?
吉野山の青い仏像を所蔵するのは、金峯山寺(きんぷせんじ)です。
金峯山寺は世界文化遺産に指定されている寺院で、吉野の観光名所のなかで目玉のような存在です。
吉野の青い仏像は金峯山寺で最も大きなお堂である蔵王堂に安置されています。
この仏像は3体あって、横並びの状態で祀られています。
さっきさから青い仏像…青い仏像と呼んでますが、もちろん正式名称があります。
つづいてこの青い仏像の正式名称とその正体に迫ります。
吉野の青い仏像の正体は?大仏じゃない?
吉野山の青い仏像の正式名称は金剛蔵王権現(こんごうざおうごんげん)といいます。
蔵王権現と呼ばれることも多いです。
金剛蔵王権現は修験道の本尊です。
修験道は日本古来の山岳信仰が仏教に取り入れられた信仰なので、インドに起源を持ちません。
そのため、その修験道の本尊たる蔵王権現も日本独自の仏です。
金剛蔵王には究極不滅の心理を体現し、あらゆるものをつかさどる王の意味があり、
権現には権(かり)の姿で現れた神仏という意味があります。
金剛蔵王権現は如来、菩薩、諸尊、諸天善神、天神地祇すべての力を包括しているとされています。
その金剛蔵王権現が吉野の金峯山寺で祀られるのは、
金剛蔵王権現が修験道の開祖・役小角(えんのおづの)が吉野の金峯山で修業している時に現れたという伝承によります。
金剛蔵王権現は吉野山以外の山岳の寺院でも祀られていることがありますが、
蔵王権現の発祥の地とされる吉野山は、金剛蔵王権現と特に深いゆかりがある場所なんですね。
金峯山寺の金剛蔵王権現像は一部で奈良吉野の青い大仏と称されることがあるようですが、大仏ではありません。
大仏の定義は一定じゃないので、どの条件を満たす仏像を大仏と呼ぶのかは明確になっていません。
ですが、大仏の基準のひとつとして一丈六尺(約4.85メートル)以上ある仏像を大仏と呼ぶことがあります。
金峯山寺の蔵王権現像は3体で最も大きな像は7メートルほどあるため、一丈六尺をゆうに超えています。
大きさの基準にのっとれば大仏と呼べますが、大仏と呼ばれるのは一般的に如来に分類される仏像だけです。
如来、菩薩、明王、天のいずれにも属さないとされる金剛蔵王権現を大仏と呼ぶのは違和感を覚えます。
しかし、金峯山寺の蔵王権現像がすごく大きな仏像であるという印象を持っている人がそれだけ多いと言えますね。
青い仏像は通常非公開?ご開帳はいつ?
吉野の青い仏像こと、金峯山寺蔵王堂の金剛蔵王権現はいつでも公開されているわけではありません。
毎年、春と秋に特別公開されます。
吉野山は春は桜、秋の紅葉の名所になるので、花見、紅葉狩りの時期に合わせて特別拝観をすることができます。