仏像の御開帳・特別公開は、日本全国の様々なお寺で行われていますが期間や頻度は、それぞれのお寺でばらばらです。

奈良県吉野山にある金峯山寺では近年、蔵王堂で蔵王権現立像の御開帳が行われています。

金峯山寺の御開帳の頻度はどのくらいなのでしょうか?

また、どのような時に御開帳が行われてきたかということにも触れています。

金峯山寺(奈良県吉野山)の御開帳実績一覧

 

金峯山寺が御開帳された記録の一覧は次のとおりです。

金峯山寺蔵王権現立像の御開帳実績

  • 2000年5月12日~6月7日(役行者没後1300年)
  • 2004年7月1日~2005年6月30日(世界遺産登録記念)
  • 2007年10月4日~10月8日(世界遺産登録3周年記念)
  • 2010年9月1日~12月9日(平城遷都1300年祭)
  • 2012年~2017年の毎年、春と秋(国宝仁王門大修理勧進)

それぞれの御開帳について細かく見てみましょう。

金峯山寺はどんな時に御開帳されてきた?

役行者没後1300年の御開帳

2000年5月12日~6月7日は役行者の没後1300年にあたる年ということで御開帳がありました。

前述した御開帳の情報の項目でも少し触れましたが、

役行者は634年頃~701年頃に実在したとされる人物で、修験道の開祖です。

 

山岳修行をする修験道の開祖ということで、役行者は山岳にある寺院でよく祀られています。

金峯山寺は金峯山修験本宗という修験道の宗派の総本山で、役行者が開いたとされています。

 

お寺の歴史に深く関わる人物の生誕○百年、没後○百年の年に特別公開が行われることは、よくありますが、

2000年の金峯山寺の御開帳もこのタイプの特別公開と言えますね。

 

2000年の御開帳はその前回の御開帳から15年ぶりの開帳だったそうです。

(ということは、その前の御開帳は1975年でしょうか?)

 

もっとさかのぼると、それまで金峯山寺の御開帳は60年に一度だけだったそうです。

 

世界遺産登録記念の御開帳

2004年7月1日~2005年6月30日は金峯山寺が世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録されたことを記念しての御開帳です。

世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」では奈良県・三重県・和歌山県の三県にまたがる霊場(吉野・大峯、高野山、熊野三山)と

これらの霊場につながる参詣道(熊野参詣道、大峯奥駈道、高野山町石道)が一括で世界遺産に登録されました。

 

金峯山寺は吉野・大峯の霊場の構成資産のひとつとして世界遺産登録されています。

余談ですが吉野・大峯には金峯山寺以外にも世界遺産登録されているお寺・神社は他にもあります。

大峯まで行くのは少し遠いですが、吉野の他の世界遺産は金峯山寺から近いので、

吉野山に行くのがはじめてなら一緒に参拝するのもいいかもしれません。

 

世界遺産登録3周年記念の御開帳

2007年10月4日~10月8日は2004年の世界遺産登録から3周年目になったことを記念しての御開帳です。

世界遺産登録○周年記念の御開帳・特別公開というのは他の世界遺産のお寺でも見かけることがありますね。

 

平城遷都1300年祭の御開帳

2010年9月1日~12月9日は平城遷都1300年記の御開帳です。

平城京に都が移ったのは710年だから「なんと(710)大きな平城京!」と学校で語呂合わせで習ったのが懐かしいです(笑)

2010年は現在の奈良市の大和西大寺駅~新大宮駅(ともに近鉄の駅)の付近に平城京ができてから1300年。

平城京の遷都1300年を記念して奈良の色々なお寺で特別公開が行われました。

金峯山寺も御開帳を行いましたが、2010年の御開帳がそれにあたります。

 

国宝仁王門大修理勧進の御開帳

2012年~2016年の毎年、春と秋の御開帳は、仁王門の修理にお金が必要で修復費用を集めるために、

 

吉野山の観光客数が多い春と秋に御開帳を行っています。

国宝や重要文化財に指定された文化財は後世に伝えるために維持することが義務付けられています。

ある程度の年数が経過すると建造物は当然、雨や風にさらされて傷みます。

金峯山寺の仁王門は国宝なので、修復しなければなりません。

国から修復のための助成金が出ても、それだけでは足りないようです。

そこで御開帳を行って人を集め、拝観料の一部を修復費用に充てるということですね。

この仁王門の修理勧進の御開帳は2017年以降も2021年まで行われる予定です。

 

御開帳のレア度は高くない?

金峯山寺の御開帳の記録を振り返ってみると、近年は頻繁に御開帳されていることがわかります。

毎年、御開帳があっても期間が1日だけだと予定を合わせづらいですが、

金峯山寺の御開帳の期間は1カ月以上ある場合がほとんどです。

これらのことから金峯山寺の御開帳のレア度はそれほど高くないと言えます。

今後も仁王門の修理勧進の御開帳が終わる2021年までは毎年公開されることが確定しているので、

少なくともそれまでは拝観したくなっても会いやすい仏様と言えるでしょう。

 

私はこれまで2度、御開帳期間に参拝しましたが、大きな蔵王権現立像を見ると2度目でも圧倒されました!

いつかまた吉野観光したいと思いますので、しばらく御開帳があるのはありがたく感じます。