奈良の東大寺にある僧形八幡神坐像は、快慶作の彫刻で国宝指定されている神像です。

写実的で生気あふれる像で何度でも見てみたいのですが、通常非公開のため普段は拝観することができません。

この記事では、僧形八幡神坐像の御開帳の日程や同時公開される仏像について記載しています。

東大寺僧形八幡神坐像(国宝)とは?作者は快慶

東大寺 僧形八幡神坐像(国宝)

  • 木造(桧)、彩色、截金(きりかね)
  • 像高87.1センチメートル
  • 鎌倉時代 1201年頃(快慶作)

 

東大寺僧形八幡神坐像(そうぎょうはちまんしんざぞう)は運慶快慶で知られる仏師・快慶によって造像された仏像で国宝に指定されています。

快慶の無位時代の仏像の代表作です。

 

僧形八幡神坐像はその名のとおり、八幡宮の神様が髪を剃髪(ていはつ)して、黄衣の上に袈裟(けさ)をまとう僧侶の姿をした神像です。

僧形八幡神坐像の目は、鎌倉時代以降に流行した水晶をはめ込む玉眼(ぎょくがん)ではなく、彫刻して彩色をほどこす彫眼(ちょうがん)です。

 

仏師・運慶の仏像は、如来像や菩薩像は意図的に玉眼を使用せずに彫眼で表現する作例が比較的多いことが知られていますが、

快慶も東大寺僧形八幡神坐像には玉眼を使用していません。

理由は定かではないようですが、神像だから彫眼の方がよいと考えたのでしょうか?

生気あふれる容貌で、鎌倉時代の彫刻らしく写実的な像ですね!

 

東大寺は1180年12月に平氏の焼き討ちによって、建造物や仏像などがたくさん炎上しました。

先代の僧形八幡神坐像もその時に焼失したため、当時、東大寺の復興を行っていた僧の重源(ちょうげん)が快慶に新造させた神像のようです。

 

重源というと、東大寺俊乗堂に重源の姿を彫刻した俊乗上人坐像(しゅんじょうしょうにんざぞう)がありますね。

こちらは、運慶作なのではないかと推定されている国宝彫刻です。

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国宝・僧形八幡神坐像は明治時代初期の神仏分離より前は、

東大寺法華堂(三月堂)の近くにある手向山八幡宮(たむけやまはちまんぐう、かつては東大寺鎮守八幡宮と呼ばれていた)に御神体として安置されていました。

現在は東大寺勧進所八幡殿(かんじんしょはちまんでん)に安置されています。

 

勧進所八幡殿は通常非公開のお堂なので、僧形八幡神坐像も普段は拝観することができない秘仏です。

勧進所八幡殿の僧形八幡神坐像の御開帳(特別公開)はいつなのでしょうか?

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東大寺勧進所八幡殿の特別公開期間はいつ?

東大寺勧進所八幡殿の特別公開は毎年10月5日のみです。

10月5日は東大寺で転害会(てがいえ)という法要が行われ、この法要の後に僧形八幡神坐像を特別拝観することができます。

拝観時間は9時~16時頃ですが、法要が終了する時間によっては、特別拝観の開始時間が少しずれることがあります。

拝観料は中学生以上が500円、小学生が300円です。

 

勧進所八幡殿の内部はそれなりに明るいですが、僧形八幡神坐像と参拝者の距離はけっこう遠いです。

僧形八幡神坐像はたまに博物館・美術館の展覧会に出陳することがあります。

展覧会では僧形八幡神坐像をいろんな角度から近い距離で見ることができますので、僧形八幡神坐像をしっかり見たい人は展覧会での展示されることを期待しましょう。

 

東大寺僧形八幡神坐像が2017年に快慶展で展示されるようです。

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10月5日の転害会の法要後には僧形八幡神坐像だけではなく、アフロのような髪型をした阿弥陀如来坐像なども特別公開されます。

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東大寺勧進所阿弥陀堂や公慶堂でも特別開扉が同時に行われる

毎年10月5日に僧形八幡神坐像とともに特別公開されるのは、勧進所阿弥陀堂の五刧思惟阿弥陀如来坐像(ごこうしゆいあみだにょらいざぞう)や

公慶堂の公慶上人坐像(こうけいしょうにんざぞう)です。

 

五刧思惟阿弥陀如来坐像は、アフロ仏像として一度見たら忘れられないインパクトを持っています。

公慶上人坐像は江戸時代に東大寺を復興した僧の公慶の姿を彫刻としたものです。

 

勧進所八幡殿、勧進所阿弥陀堂、公慶堂はすべて近い距離にあるので、迷うことはないと思います。