京都の代表的な名所である清水寺。
思い切ったことを行うときに使われる「清水の舞台から飛び降りる」ということわざでも知られています。
年間550万人以上。
「清水の舞台」を含む本堂と京都市街を一望する景色が国内外のメディアやインターネットでも広く紹介されているもあって、国内はもとより世界中から季節を問わず多くの観光客が訪れるスポットです。
その清水寺で、いま50年に1度ともいわれる大規模な改修・修繕工事が行われており、2017年初めの工事開始から2020年3月の工事終了まで約3年の歳月をかけて「清水の舞台」で知られる本堂の全面修復が行われています。
しかし本堂の改修工事の期間中、「清水寺を拝観できるのか?」「工事により拝観に制限があるでは?」と心配される方が多いかもしれません。
確かに工事前とまったく同じ状態で拝観できるわけではありませんが、逆にこの期間しか見ることのできない部分もあるなど、清水寺の別の側面も垣間見ることができるのです。
この記事では「平成の大改修」といわれる清水寺の大規模修繕工事の概要と、清水の舞台や本堂の工事期間中の参拝・見学についてご紹介します。
清水寺修復工事の概要は?
清水寺の改修工事は、実は2008年(平成20年)から11年計画で進められています。
国宝や重要文化財を含む工事であるために、じっくりと時間をかけて慎重に進めているのです。
これまで、子安の塔といわれる三重塔をはじめ境内のさまざまな建物の解体修復、半解体修復を行い、
いよいよクライマックスともいえる清水の舞台を含む本堂の修復工事を開始する運びとなったわけです。
このような大修復工事が前回行われたのは1967年(昭和42年)で実に50年ぶりの大工事となるわけです。
では、なぜこのような工事が必要なのでしょうか?
清水寺の創建は778年の奈良時代までさかのぼりますが、今の本堂は江戸時代に旧本堂が消失したのち1633年に建立されました。
その後約400年近く、風雪や地震に耐えながら、蓄積した屋根や構造の傷みに対して、定期的な修理を重ねて現代の姿を維持しているのです。
しかも歴史的な価値の高い建物を短期間で修繕することは困難であり、以下のような工程で実施するのです。
- 素屋根の建設(2017年1月以降に着手)
- 檜皮葺の葺き替え、厨子の漆塗り等の補修漆喰壁の塗り直し
- 檜皮葺完了・素屋根の解体(2020年3月に完了予定)
- 舞台の破損部分等の補修
この大規模修理の前にも、檜皮の購入や構造診断、舞台下の発掘調査をはじめさまざまな基礎工事などを約6年実施しており、
その工費は約40億円とまさに一大プロジェクトといっても過言ではないでしょう。
さらにこの工事には現代の日本における最新の建設技術と寺社仏閣など日本の伝統的な建築技法を極めた「宮大工」の技が見事に融合して清水寺本堂の「平成の大修理」を実施していくのです。
そして「平成の大修理」が完成する2020年中には檜皮葺の屋根が真新しく、見事に補修された清水寺の本堂、そしく清水の舞台を見ることができるのです。
工事中に清水の舞台の拝観や写真撮影はできる?
しかしながら、一般の観光客、しかも初めて清水寺を訪れる人にとって、
この約3年間の”いつから”,”いつまで”が工事期間で、その間、清水寺を”どこまで”、”どのように”見ることができるのか気になるところです。
姫路城や平等院など平成の大修理を行ったスポットでは、建物がすっぽりシートで覆われて普段の姿を見ることができず観光客が激減したとも聞いています。
清水寺も工事用の覆いがかけられるため、写真などでよく見る奥の院から本堂を望む風景を見ることは残念ながらできません。
次の画像は奥の院から見た本堂。
工事期間中はこんな感じになっていますが、本堂とその前方にある舞台には立ち入ることができます。
写真でおなじみの清水の舞台の風景を見ることはできませんが、実は普段写真で見る清水寺とは違った一面を見るチャンスなのです。
本堂の修繕工事の開始は2017年1月で、2017年8月現在は檜皮葺の屋根を葺き替えを行っている時期となります。
屋根の葺き替え工事の期間中は仮屋根を設置し、雨風に耐えられる状態を維持するため、本堂全体がシートですっぽりと覆われた状態になっています。
この状況ではせっかく清水寺を訪れても、シートに囲まれた味気ない建物を見るだけとがっかりする人も多いかもしれません。
しかしながら、この期間には普段では見ることのできない清水寺を見るチャンスでもあるのです。
改修工事の際には透明のシートで中の様子が分かるようにしてあることにより、工事中の足場のかけ方や、作業風景もシート越しにわかるようになっています。
工事中の清水寺本堂の画像を掲載します。
2017年8月に撮影したものです。
文化財の補修工事がどのように行われるかを実際に自分の目で見ることのできるまたとないチャンスということになるのです。
さらに本堂内部の構造など、普段見ることのできない貴重な部分も見ることができるので、このタイミングで清水寺を訪れる価値が十分にあるといえるでしょう。
前述したとおり、本堂の工事中も清水の舞台に立ち入ることができます。
さらに普段より観光客が多少なりとも少なくなる可能性があるということは、その分、清水寺をゆっくりを見ることができるというメリットも考えられます。
また門前まで続く松原通や清水坂に多数ある飲食店や土産物店などは工事期間中も変わらずに営業しており、二年坂、三年坂など近隣のスポットも変わらず京都らしい風情をかもし出しています。
つまり周囲はまったく変わらず、普段では見れない特別な清水寺を見ることができるということなのです。
写真などで見る風景とは違うかもしれませんが、これはこれで、工事終了まで限定の清水寺の楽しみ方かもしれません。
しかも清水寺の大修理は前回の「昭和の大修理」以来、約50年ぶりに実施されているので、本堂の内部などを見るチャンスが次に来るのも約50年後以上になる可能性もあるのです。
そう考えれば、次に改修工事のタイミングに清水寺を訪れることができるかどうかわからないということです。
清水の舞台の写真が撮れないかわりに本堂内部の様子や作業の状況をしっかり自分の目に焼き付けて写真におさめておくのも良いでしょう。
工事が終わるまで清水寺の観光はやめておく方が良い?
清水寺以外にも京都には金閣寺や銀閣寺、嵐山などたくさんの観光スポットがありますので、それら有名な観光スポットに行くのも良いですが、
この「平成の大修理」の間は本堂の内部構造や、日本の最新技術と宮大工の伝統の技を融合させた文化財の修繕工事の風景など、普段では見られない清水寺を楽しむことができるのです。
もしこのタイミングで京都を訪れる機会があるなら、ぜひ清水寺を訪れることをおすすめします。
そして約4年後の完成後に、修繕工事中に撮った写真と完成後を比較しながら、清水寺を再訪するのも楽しいかもしれません。
【追記】2017年11月参拝時の清水寺の画像
(クリックで画像を拡大できます。)
2017年8月と同様に、清水寺本堂には工事の木組みがあります。
2017年11月も清水の舞台には出られます。
清水寺本堂の南側から舞台の方を撮影した画像。
舞台の端は木組みがあるため立ち入れず、舞台中央の方のみ立ち入れます。
清水の舞台からの眺め。
音羽の滝に行列ができています。
清水寺で一番の見どころである本堂が工事中でも、参拝者はけっこう多いです。
紅葉の時期だからというのもあるでしょうけど。
清水の舞台に立って、左側(南側)を向くと、奥の院が見えます。
画像左端に見えるのは工事の木組み。
舞台から左右を見ると木組みで視界が遮られますが、正面を見ると木組みが視界に入らないため、工事前と同様の景色を楽しめます。
遠くには子安の塔が見えます。
清水寺奥の院から見た本堂。
2017年8月参拝時と比較して、工事用のシートで覆われている範囲は大きく変わらないように見えます。
【追記】2020年2月も舞台に立ち入り可能
2019年(令和2年)の2月も
- 清水寺本堂に覆いがかけられている
- 本堂の舞台に立ち入ることができる
という上記の2点に変わりはありません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
“清水寺の改修工事の期間はいつまで?2020年2月は舞台に入れる?” への1件のフィードバック